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新生インテルのキャラ濃すぎ問題。
クリロナも挑発する“オラオラ系”。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2018/08/22 11:00

新生インテルのキャラ濃すぎ問題。クリロナも挑発する“オラオラ系”。<Number Web> photograph by AFLO

こんなにガラの悪いトップクラブはいつ以来だろう。そして、こんなに楽しみなクラブもいつ以来だろう。

「クリロナ、かかってこい」

 ヤンチャ坊主たちの扱い方に長けるスパレッティのサッカーは至って真面目だ。

 今夏のキャンプで指揮官は守備陣に最終ラインからの組み立てを教え込んだ。

 今季の戦術ベースは4-2-3-1と3-4-2-1の2パターン。いずれの場合も中核を担うのは、マンチェスター・Uをはじめ欧州の強豪からオファーが殺到したものの残留を望んだDFシュクリニアルと新加入のデフライだ。

 シュクリニアルは「クリロナ、かかってこい」と、シーズン中に来たるユーベ戦に向けて鼻息が荒い。

 この夏、長距離移動を伴う北米や中国ツアーは避け、キャンプと欧州の強豪とのプレシーズンマッチでじっくり腰を据えてチームの地力をつけてきた。

 しかし、19日の開幕戦に勇んで挑んだインテルは、サッスオーロに0-1で敗れた。よもやの黒星だった。

 FWラウタロ含む新加入組4人を開幕スタメンに並べ、PKでリードされた後はFWペリシッチやFWケイタを投入し反撃に転じたが、インテルは最後まで噛み合わなかった。

 中盤のハンドリングを担うべきMFブロゾビッチをはじめ、遅い休暇をとったW杯出場組、とりわけファイナルまで進んだクロアチア代表組のコンディション回復にはもう少し時間がかかる。

 彼らはまだカンピオナートを戦うチームとしては慣らし運転中だということを露呈した。

監督も選手もボスも異常なキャラ立ち。

 だが、スパレッティは事を荒立てるつもりはないようだ。試合後、黒星の影響を問われるとウインクしながら応えた。

「我々にはまだ戦うべき試合が50も残っている。(偶然性の高い)PKで負けただけだ。すぐに巻き返すさ」

 開幕の5日前、スパレッティに2021年までの契約延長をサインさせた若きボス、チャンも怯まない。

「目標は世界最強クラブの1つとしてインテルを作り変えることだ」

 不発に終わった主将イカルディも、789馬力のモンスターマシンを操るボスの言葉には耳を傾けるだろう。

 監督も選手もそして若きボスも、今季のインテルはキャラクターが立ちまくっている。チームバスに“夜露死苦”とか書き殴りそうな、やんちゃな勢いとノリがある。

 少なくとも、彼らは最強ユーベとクリロナを微塵も恐れていない。

 大排気量エンジンに火を入れろ。王者追撃を開始するのだ。

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