酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
甲子園を連覇する学校の共通点は?
大阪桐蔭の3投手体制はかなり有力。
posted2018/08/16 11:40
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
近年の甲子園で、大阪桐蔭という学校は別格になった感がある。
私は最近、少年硬式野球の取材をしているが、大阪のリトルシニアやボーイズ、ヤングの有望な野球少年に「高校はどこへ行きたい?」と聞くと、別の高校の名前をいくつか出すので「大阪桐蔭は?」と聞いたら、「あそこは無理無理」と大きく手を振って全否定したりする。
大阪桐蔭は全国から選りすぐりの人材が集まる。しかも少数精鋭で部員数は3学年合わせて60数人だから、野球部に入るだけで大変なのだ。
そして甲子園での応援も別格だ。別に音楽の専門家ではないが、聞こえてくる吹奏楽の音が違う。失礼ながら初出場の高校などと比べると、試合前にアルプススタンドから聞こえる音からして、はっきり差がついていたりする。
今季、大阪桐蔭は春夏連覇がかかっている。大阪桐蔭は2012年に1度達成しているから2回目となる。これは史上初。
100回を数える夏の甲子園、90回を数える春の甲子園で「春夏連覇」は7回しかない。育ち盛りの高校生は良くも悪くもどんどん変化していく。どんなに強いチームでも、その強さを1シーズン通して維持するのは至難の業だ。しかもトーナメントは失敗が許されない。
春夏連覇はよほどの実力差があって、しかも運に恵まれないと難しい。
7つの春夏連覇の戦績を見ていこう。
<作新学院(栃木)>
1962春2回戦○5-2久賀(山口)
1962春準々△0-0八幡商(滋賀)延長18回引き分け
1962春準々○2-0八幡商(滋賀)
1962春準決勝○3-2松山商(愛媛)延長16回
1962春決勝○1-0日大三(東京)
1962夏1回戦○2-1気仙沼(東北・宮城)延長11回
1962夏2回戦○7-0慶応(神奈川)
1962夏準々○9-2岐阜商(三岐・岐阜)
1962夏準決勝○2-0中京商(愛知)
1962夏決勝○1-0久留米商(福岡)
戦前は春夏連覇は一度もなし。最初の例は作新学院。大エースの八木沢荘六(のちロッテなど)が春の優勝投手だが、夏前に赤痢にかかったため夏は控え投手の加藤斌(中日)で連覇を果たす。エースが変わって連覇したのはこの一例だけ。