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逸材中の逸材、早大・齋藤直人。
2019年ラグビーW杯に間に合うか。
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byMasataka Tara
posted2018/08/01 10:30
日本ラグビーの未来を背負うと嘱望される齋藤直人。赤黒のジャージの先に、日本代表の道がある。
ジャパンAとしてNZ遠征に参加。
「2015年のワールドカップのときは高校3年生で、そのときは(日本代表は)手の届かないところにあるもの、という意識でした。でも春に遠征に行って、少しだけ(日本代表を)狙える位置にいるんだな、という意識になりました」
この「遠征」とは、今年4月、日本代表候補チームが「ジャパンA」として行ったニュージーランド(NZ)遠征のことだ。
大学3年になったばかりだった齋藤は、ジャパンAの指揮官を務めた堀川隆延ヘッドコーチ(ヤマハ発動機HC)から「パス、キック、ラン、判断力全てを兼ね備えた選手」と期待され、メンバー最年少でNZ遠征に参加した。
しかし3試合あったNZのスーパーラグビー下部チームとの練習試合のうち、第1戦の「ハイランダーズA」戦は、メンバー外だった。
「お客さんにならずにチャレンジしようと思っていたんですが、堀川さん(HC)の目には遠慮してやっているように見えたのか、『お前を呼んだことで来られなかった選手もいる。自信を持てないなら持てるまで準備しろ』と言われて。そこから変わることができました」
堀川HCとの面談を受けて、齋藤はノートに向かった。試合における注意点などを書き出し、優先順位をつけ、頭の中をクリアにした。文字にして頭を整理する習慣は、スクール時代に身につけたものだ。
「思い切りやって、人生変えてこい」
齋藤はブルーズAとの遠征第2戦で、リザーブメンバーに入った。舞台はNZラグビー界の聖地のひとつ、オークランドのイーデン・パーク。
それは試合開始直前、ピッチでウォーミングアップを終えた頃のことだった。
突然、早大の先輩である布巻峻介(パナソニック)に声を掛けられた。
「『思い切りやって、人生変えてこい』と言われました」
このNZ遠征には日本代表のセレクションマッチの意味合いがあった。来年のワールドカップ日本大会へ向けた生き残り合戦だ。