スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
アメリカ人はなんでも15秒で話す。
懐の深さと反知性主義が同居する国。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by2018 Regents of the University of Michigan
posted2018/07/23 08:00
大学生の選手がまとうユニフォームには、スポンサー企業のロゴがちりばめられている。それもまたアメリカスポーツの真実だ。
憧れの国ではなくなったアメリカ。
『ザ・ビッグハウス』には、土曜日にカレッジ・フットボールに熱狂する人たちの生の姿、声がある。
これまでのスポーツジャーナリズムの手法では、表現しきれない姿であり、声である。
私が憧れてきたミシガン大のフットボール・チームが、まさかアメリカの現実を描く舞台になるとは思わなかった。
きっと、日本人の視点がなければ、この素晴らしい観察映画は誕生することはなかっただろう。
アメリカは、かつてのような憧れの国ではなくなった。しかし、想田監督のユニークな観察眼が発揮され、彼にプロジェクトを託したミシガン大の懐の深さに、私は「アメリカ」の力を感じるのだ。