ゴルフPRESSBACK NUMBER
ゴルフの写真はワンパターンか?
カメラマンの苦悩、読者の興味。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/07/14 17:00
笑顔、しかめ面、無表情……。選手がどんな表情で歩き、考え、打つかはやはり人となりを知る大きな手がかりになる。
フォトグラファーなら撮らないであろう瞬間。
書き手目線の私の写真は、専門的なフォトグラファーの写真と何がどう違うのかというと、これまた説明するのが難しいのだが、おそらくはこういうことだろう。
メインの被写体をきれいに、カッコよく、魅力的に撮ろうとしているフォトグラファーなら、ここでシャッターを切ることはまずないだろうという状況でも、私はお構いなしにシャッターを切っている。
たとえば、タイガー・ウッズを撮るぞというとき、ウッズが横を向いていようと下を向いていようと、それが「ウッズらしい」と私自身が感じたら、そこでシャッターを切る。
大勢のファンに囲まれた真ん中でサインをしているフィル・ミケルソンがいて、あまりにも周囲の人数が多く、そのまま映すとミケルソンが小さすぎて目立たず「ウォーリーを探せ!」的な写真になってしまうとしても、それが、その場の真の姿だと感じれば、私はシャッターを切る。
詳しいことは文章にするとはいえ、「百聞は一見にしかず」と言われるように、その場の雰囲気や空気感は、ダラダラ説明するより写真を見てもらうほうが格段に分かりやすい。
その場は「こんな感じでした」ということが一目瞭然で伝えられさえすれば、メインの被写体であるはずのウッズやミケルソンや松山英樹が豆粒ぐらいの大きさになってしまっていても、私としては「これでOK!」。
そういう写真だから、ゴルフ・フォトグラファーたちが工夫を凝らして撮る写真とはまるで別物となり、それが時として新鮮に感じてもらえるのだろうと想像している。
わかりやすい写真の価値。
「文章を補佐する便利な写真」と言い換えることもできる。冒頭や文中に挿入される写真が、わかりやすい便利な写真であれば、読者の方々にとっても便利に感じてもらえそうである。
そして、「キレイだけど不便」より、「なんちゃってレベルだけど便利」なほうが、好まれ、ファンになってもらえることもある。メインではなくサブ的な存在であっても、便利ゆえに共感を呼び、ひいては魅力的だと思ってもらえることもある。
それは、ゴルフの写真に留まらず、仕事の場や社会における自分自身の在り方を考える際にも、何かしら参考になるのではないか。
そんなことも、ちょっと考えながら、珍しいテーマのこの原稿をここに綴ってみた次第である。