フランス・フットボール通信BACK NUMBER
超長期計画で育ったウルグアイ代表。
“独裁者”タバレス監督とは何者か?
text by
トマス・グバンThomas Goubin
photograph byMark Baker/AP/SIPA
posted2018/07/05 11:00
2006年からオスカル・タバレス監督によって鍛え上げられてきたウルグアイ代表。綿密な長期計画に沿って成長してきたチームは、そのピークを迎えている。
71歳にして、代表強化のあらゆる部署で働き続ける。
71歳になるタバレスは、どこへ行くにも杖が欠かせない。それでも彼は日々AUFに通って様々な執務を行っている。
選手のスカウティングも入念で、ある選手がA代表に招集された時点では、その選手の隠し事は何もない状態になっている。
U-15代表からA代表まで――後者は若年層と同じシステムを採用していないが――3バックやプレスのやり方などプレーのベースとなるものは同じである。
またタバレスは、最も若い年代の選手たちが精神的な安定を得られるように協会内部に心理カウンセリング部門を設立し、学校に通う子供たちにカウンセリングを受けることを義務づけた。
「選手は常に人間としての敬意を払われている」と、U-20代表監督のファビアン・コイトは語っている。
結果を出し続けたタバレス率いる代表チーム。
とはいえタバレスがすべてを統括することについては、以前から疑問が呈されている。
2010年南アフリカワールドカップ予選でウルグアイは、南米予選落ちの危機に瀕し、かろうじてプレーオフで生き残ったのだった。
「とても難しい時期だった」とスコッティが振り返る。
「ただ、グループの中はとても静かで、誰もが正しい方向に軌道修正できると思っていた」
その後、長足の進歩を遂げた証拠として、ウルグアイはロシアW杯の南米予選を2位で終えている。それは、1998年のフランス大会から現行の総当たり方式が採用されて以来の最高成績だった。