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超長期計画で育ったウルグアイ代表。
“独裁者”タバレス監督とは何者か?
text by
トマス・グバンThomas Goubin
photograph byMark Baker/AP/SIPA
posted2018/07/05 11:00
2006年からオスカル・タバレス監督によって鍛え上げられてきたウルグアイ代表。綿密な長期計画に沿って成長してきたチームは、そのピークを迎えている。
「世界で最も優れたサッカー文化を持った小国」
徹底的な改革が断行されながら、ウルグアイはピッチ上で連綿と受け継がれてきた伝統のDNAを失ってはいない。
「守備の強さこそはウルグアイの特質そのもので、その点はまったく変わっていない」とタバレスは強調する。
プラグマティストのタバレスに率いられたウルグアイは、対戦相手にとっては厄介な存在である。
「世界で最も優れたサッカー文化を持った小国」、それがウルグアイであるとタバレスは誇らしく語る。
「12年かけてここまで様々な準備を進めてきた。昨日今日始めたことではない」
それではロシアワールドカップの後も、彼は代表の指揮を続けるのか。
代表監督という仕事を続けられる幸運。
神経痛に苦しみ、それが原因で筋肉のコントロールが利かなくなっているにもかかわらず、日ごろ彼はそのことをいっさい口にしていない。
車椅子で練習を指揮した2016年コパ・アメリカでも、「痛みはまったくない」と頑なに語っていたのだった。
「とても明晰で気持ちが強いから」とスコッティはいう。
「彼は病気であるという事実をただ単純に受け入れている。代表監督という仕事を続けられる幸運は何ものにも代えがたい。そのことを彼が一番よく知っているからね」