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VAR判定でイタリア審判団に脚光が。
仕切るのはレフェリー界のビッグ3。
posted2018/07/04 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
もはや「VAR」抜きのワールドカップなどありえない。我々はロシア大会で新しい時代を目撃している。
今大会から初めて採用されているビデオ判定補助システム「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)」について、“中間報告”が出た。
グループリーグ全48試合を検証したFIFA審判委員会は、先月28日に報告を公表。それによれば、VARによる判定介入は17回あり、そのうち主審がもともと下した判定を覆し、誤審を未然に防いだケースが14回あった。
「グループリーグ全試合を通した誤審率は0.7%。ほぼパーフェクトに近い」
前回ブラジル大会の誤審率は5%近かったというから、VAR導入効果は絶大といっていいだろう。FIFA審判委員長ピエルルイジ・コッリーナの表情は満足気だ。
「試合のリズムを壊す」「使用基準が曖昧」といったVAR否定論は根強い。ただし、そこにはVARへの根本的認識が欠けているように思う。
後半だけでVARを3回も使用した主審も。
裁くのはVARではない。目を向けるべきは世界中から集められたレフェリーたちだ。
グループリーグで最も物議を醸した試合は、大会12日目の「イラン対ポルトガル(1-1)」だろう。
試合を裁いたパラグアイ出身のカセレス主審は、VARを後半だけで3度も使用した。
おかげで50分とアディショナルタイムに2度見落としたPKをすぐにカバーすることができたものの、83分にイランDFプーラリガンジを殴打したC・ロナウドを本来妥当だった退場処分にせず、イエローカード止まりにしたのはまずかった。
折角VARで確認しても、主審が判断ミスをしては元も子もない。
グループGの「チュニジア対イングランド(1-2)」も明らかな誤審例だった。イングランドに与えられるべき2度のPKをロルダン主審(コロンビア)が見逃し、VARを活用すべきケースだったにも関わらずそうしなかった。