海外サッカーPRESSBACK NUMBER
オーストラリア、ケーヒル選出の謎。
スポンサー枠疑惑に監督も意味深。
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph byGetty Images
posted2018/06/12 17:00
2006年ドイツ大会で日本を絶望の淵に追い込んだケーヒルも今年で39歳。4大会目のW杯でどんなプレーを見せるのか。
協会スポンサーの石油会社が“改名”。
歌を忘れたカナリアに、国民は拍手を送らない。スコットランドでのこととはいえ、発表直前の試合で決めたハットトリックにより、今季計8得点としたジェイミー・マクラーレンが32人から外される6人に入ったことも、火に油を注いだ。
いや、油ではなく、ガソリンがぶっかけられたと言った方が適切かもしれない。
「最悪」。SNSでつぶやかれる。
「商業的な理由ではないか」。メディアも率直に問うた。
オーストラリア・サッカー協会の大スポンサーである石油会社「カルテックス」は、W杯を前にキャンペーンを打った。国内5つのガソリンスタンドの名前を、ケーヒルの名前をもじった「ケーヒルテックス」に変えたのだ。
「彼はすべてにおいて、特別なんだ」
代表チームの「顔」。自身の不振と同僚の好調、そして、スポンサーを軽んじられない協会の立場。協会トップは「絶対にない」と明言したが、忖度が疑われるだけの材料はそろっていた(率直に質問が飛んだのは、まだ健全さを示しているのかもしれない)。
「彼は特別なケースなんだ。すべてにおいて、特別なんだ」
メンバー選考したベルト・ファンマルバイク監督のコメントも、何だか意味深に聞こえるものだった。
だが、当の本人に揺らぎはない。『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙は、「(選出は)僕のデータを見たからだと思うよ」とのケーヒルのコメントを伝えている。
この地元メディアは、ケーヒルの肉体的データに衰えが見られないとする代表スタッフによる発言を紹介している。そのスタッフは言う。「必ずしも、我々の歴代最高のアスリートではないかもしれない。特定の分野で飛び抜けているわけではないかもしれない」。だが、その肉体は耐性に優れているという。