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シアラーが語るケインとサラー。
「私の記録をさらに超えて欲しい」
posted2018/06/12 16:30
text by
デイブ・ハリソンDave Harrison
photograph by
Getty Images
誇る英雄は、自らの年間記録を破った後輩を讃える。
さらに注目を集めるエジプトのスピードスター、
中国「爆買い」への懸念まで、縦横に論じてくれた。
W杯を前に、Number946号(2018年2月15日発売)の記事を全文掲載します!
ハリー・ケインのプレースタイルは、現役時代の自分に少し似ていると思うし、テディ・シェリンガムを連想させるところもある。まず、ボールを足元に収めるプレーであれ、フィニッシュの場面であれ、ほとんどの動作がとてもこなれている。それに空中戦も強い。だからヘディング、ロングレンジのシュート、至近距離と、あらゆるパターンでゴールを決めることができる。おまけにケインはフリーキックからでもゴールを狙える。これは大きな特徴だ。
そもそも彼は、点取り屋にとって必要不可欠な「嗅覚」と気持ちの強さを持っている。試合でゴールを決められなかった時にはフラストレーションを感じるし、一旦ゴールを決めると2点目、3点目と、さらに貪欲にゴールを挙げようとする。それこそが点取り屋のあるべき姿なんだ。
ケインは2017年、私が持っていたプレミアリーグの年間最多得点記録を塗り替えた。22年間破られなかった記録だが、個人的にはすごく嬉しいよ。自分を超えていくのは、やはりイングランドの選手であってほしいと思っていたからね。
昨年はメッシ、ロナウド並みに点を獲った。
さらにケインは昨年、クラブと代表を通算すると57ゴールを決めて、リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドの存在さえ脅かした。これは仮定の話だが、プレミアで10年間プレーし続ければ、私が持っている生涯得点記録、260ゴールさえ超える可能性があると思う。
「今後、10年間プレーし続ければ」という言い方をしたのには理由がある。遅かれ早かれ、レアル・マドリーやバルセロナのようなクラブが触手を伸ばしてくるからだ。
だからこそスパーズは2~3年以内に確実にタイトルを獲得する必要がある。そうなれば、ケインはスパーズこそ自分の居場所だと改めて確信するはずだ。
逆の場合には、今後の身の振り方を考え始めてもおかしくない。今の彼はどんなクラブにも移籍できるからだ。