月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
日大タックル問題は現場記者に注目。
元選手、逆ギレ司会、そしてハンセン!
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News
posted2018/06/01 17:00
アメリカンフットボールの大学日本一を決める2017年の甲子園ボウルで、母校を27年ぶりの頂点に導いていた内田正人日大監督。
“逆ギレ司会者”にも一分の理がある!?
次に紹介するコラムも面白かった。
スポーツ報知の『“逆ギレ司会者”にも一分の理…アナウンサーは取材者なのか出演者なのか』(5月26日)。
逆ギレ司会者とは説明不要だろう。日大アメフト部の内田正人前監督と井上奨前コーチの記者会見(23日)で彗星のように現れた日大広報部顧問・米倉久邦氏のことである。
取材陣に対して司会を務めた米倉氏は「(日大ブランドは)落ちません」「しつこいですよ」「監督、話さないでください」などの言葉で一気に注目を浴びた。次から次に出てくる濃いおじさん。さすが日大、人材の宝庫だと唸らせた。
当然この不遜な態度には批判が集中したのだが、報知のコラムは「“逆ギレ司会者”にも一分の理」ときた。お? これは読みたくなる。
なぜあの振る舞いにも一分の理なのか。
そこには当世の記者会見事情が見えてきたのである。
記者会見で同じ質問が続く理由とは?
テレビ各局は注目の大型会見には番組ごとに複数のクルーを送り込む。「ここ2年、数多くの大型会見を取材したが、メインキャスターが来ることは少なく、サブキャスター的な存在の女性アナウンサーやキャスターが現場に来ることが多いと思う」とまず書く。
そして、
《こうしたアナウンサー、キャスターたちが自らの番組名と名前を名乗り、質問合戦を展開する。その際、会見場のサイドに陣取る当該番組のカメラが、それぞれの番組の顔たちの質問する映像を撮る。この際、米倉氏を“キレさせた”類似質問が頻発するのだ。》
「ウチの番組のアナウンサーはちゃんと活躍してるぞ」という視聴者へのアピールづくりのために似たような質問が繰り返されると指摘しているのだ。
《失礼な言い方かも知れないが、会見の場を自己表現の場と捉えてしまっているキャスター、アナウンサーが一部いるのは確かだ。あなたは取材者か。それとも出演者(表現者)なのか。それは、あらゆる取材者に日々、問われ続ける問題でもある。》
なるほどこれも「現場を見ている人の声」ではないか。全然失礼なんかではない、まさしく記者の目である。このコラムのおかげで大きな記者会見の現場のからくりを知った思いだ。