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長谷部誠が実践、ハメス封じの術。
ボールを持たせず脆さを引き出せ。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/05/24 10:30
バイエルンでトップフォームを取り戻したハメス・ロドリゲス。彼を止めることがコロンビア封じの最重要ポイントだ。
ロンドンで視察した吉田麻也の印象は?
センターバックの要である吉田麻也も、コロンビアについて言及した。イングランドでプレーする彼の場合、コロンビアにとって直近の親善試合オーストラリア戦がロンドンで開催されたことから、直接視察した経緯がある。
「非常に強いなと思いました。ただテレビで観るのとはまた違って、スタンドからより明確に相手の情報をインプットできた。前線の選手は能力が高く、後ろの選手は人に強い守備をする。攻撃のビルドアップは中盤のアンカーやインサイドハーフが下りてきて、彼らをDFがシンプルに使う。
そこから前でハメスが自由に動いて、ボールを彼に集める。他の選手がハメスが動いた方向と逆に動いて、カバーしながらゴールに向かう。これが1つのパターンでした」
チーム全体の動きとともに、ハメスはクラブよりも代表での方が自由な動きをしてくるなど、しっかりとエースのプレーを注視していた。
隠れた要注意人物はバリオス。
さらに、吉田がスタンドから熱視線を送ったのが、コロンビアの中盤だった。1人のアンカーと1人のインサイドハーフという構成だったが、その中でも要注意選手として挙げるのが、アンカーに入ったバリオス。アルゼンチンのボカ・ジュニアーズでプレーする24歳のMFだ。
「5番をつけていたアンカー。小さい選手(公称178cm)だけど、かなり彼がチームの中で効いていました。パスも出せるし、位置取りもいい。正直、コロンビアのDF陣はあまりボール回しがうまくなかった。だからDFはシンプルにアンカーにボールを付けて、彼を起点に周りが柔軟に動いてボールを受けていく。
その試合はハメスは右サイドを起点に、中央や逆サイドに流れていったんですけど、ハメスに入る以前の中盤の動きやカバーリングがかなり良かったです。最前線のファルカオはほとんど下に下りずに、ボックス(ペナルティエリア)勝負。でもあとは南米特有の自由な形で攻めてきます」
その上で、日本がどう戦うかについては、「スペースを与えずにコンパクトな守備で粘り強く守ることが大事。それはコロンビア戦に限らず、ですけど」と、まだ戦い方が定まっていない状態で、吉田は多言を避けている。