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長谷部誠が実践、ハメス封じの術。
ボールを持たせず脆さを引き出せ。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/05/24 10:30
バイエルンでトップフォームを取り戻したハメス・ロドリゲス。彼を止めることがコロンビア封じの最重要ポイントだ。
10番タイプらしいムラっ気がある。
ただ一方で、試合によっては、時折プレーの流れから消えることもある。いかにも10番タイプらしいムラっ気だ。自分たちのペースでボールを保持したり、また広大なスペースを生かして速攻を仕掛ける場面では、彼の確かな技術とプレービジョンは最大限に発揮される。しかしタイトな球際の勝負が続くハードゲームでは、消える時間帯が出てくる。
長谷部の言うウィークポイントとは、まさにこのような状況に追い詰めた時に見せる、ハメスの脆さだろう。
21日から始まった、西野ジャパンの国内合宿。初めは海外組10人強が顔を揃えたにすぎず、実戦的なトレーニングは皆無で、フィジカルコンディションの調整、向上に時間が費やされている。
とはいえ約3週間後には、コロンビア戦を迎えるのである。まだ具体的な練習が始まっていないため、選手たちも戦い方の輪郭すらつかめていない状況だが、頭の中は近づく現実を意識せざるを得ない。
酒井高徳も「結構狙えるシーンが」
合宿に参加する選手の中で、コロンビア戦について話が及んだのが酒井高徳。ハメスとも、今季のブンデスリーガで対戦した選手だ。
「今季の印象では、やっぱり時間を与えれば素晴らしい選手と思う半面、ブンデスでの早い寄せとか、この間のポカール(カップ戦)決勝で奪われた場面とか、ちょっとふわっとした(不安定な)感じは常にある。自分も対戦した時は、彼も僕もボランチでプレーしたんですけど、(ボール奪取が)狙えるシーンが結構あったイメージです」
対戦した印象を踏まえ、日本代表として相対する場合に何が有効になるのか。話を続ける。
「例えば、ハメスが低い位置に下りてパスをもらう場合は、そんなに注意することはないと思う。どんどん彼を下がらせる試合展開というか、そういうプレッシャーのかけ方をできたら良い。逆に前回W杯では、(高い位置で)彼がDFの裏に抜ける動きだったり、DFの前でターンさせてしまうような距離感で日本が守ってしまった。
クオリティが高いので、ラストパスも出せるし自分でも突破できる選手なので、彼がどの位置でプレーするかによって、こちらもどれぐらい寄せないといけないかが変わってくると思います」