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サンウルブズはなぜ2連勝できたか。
運任せを止め、技術と戦術で戦う。
text by
野澤武史Takeshi Nozawa
photograph byGetty Images
posted2018/05/23 16:30
レッズ戦で戦列復帰したリーチマイケル。“いるべきところに必ずいる”彼の優れた危機管理能力も勝利に貢献している。
戦略・戦略で15人が同じ絵を描けている。
ふたつめは、戦術・戦略理解の向上だ。ロール(役割)という言葉がある。指揮官ジェイミー・ジョセフが掲げるラグビーは、ピッチに立つ15人の役割を攻守において明確に規定している。
ここで重要なのは、自分の役割はもちろんのこと、他の14人の役割も理解する必要があるということだ。相互理解が深まっているからこそ、例えば、「ここで無理して突破を図るよりも、クイックボールを出せば、次のフェーズで必ずゲインしてくれる」といったふうに、15人全員が同じ絵を描けるようになったのではないか。
基本スキル、戦略、そしてメンタリティ。マイクロスキルが向上し、ロールが明確化し、勝利によってメンタリティがさらに高まる。サンウルブズはこの非常にポジティブなサイクルの中にあると見ている。
長いトンネルは必要悪だったと考える。
次節5月25日にメルボルンで行なわれるレベルズ戦で連勝をさらに伸ばすためには、攻め勝つこと。スーパーラグビー全体の傾向として、中盤から終盤に向かうこの時期は、各チームともディフェンス組織もさることながら、アタックも自分たちの形が仕上がってくる。
アタックがディフェンスを上回りだす時期なのだ。サンウルブズにとって9連敗と代償は大きかったが、その間に自分たちのプレースタイルが確立されてきた。長いトンネルは必要悪だったと考える。
レベルズとは前回、秩父宮で3月3日に17-37で敗れた。今のサンウルブズはその20点差を覆せるほどの力を備えていると、私は見ている。
(構成:朴鐘泰)