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サンウルブズはなぜ2連勝できたか。
運任せを止め、技術と戦術で戦う。

posted2018/05/23 16:30

 
サンウルブズはなぜ2連勝できたか。運任せを止め、技術と戦術で戦う。<Number Web> photograph by Getty Images

レッズ戦で戦列復帰したリーチマイケル。“いるべきところに必ずいる”彼の優れた危機管理能力も勝利に貢献している。

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野澤武史

野澤武史Takeshi Nozawa

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 言わば、身の丈に合ったラグビー。サンウルブズがスーパーラグビー挑戦3シーズン目にして初となる2連勝を遂げた要因は、フィフティ・フィフティのプレーをしなくなったことが大きい。

 今季序盤は苦し紛れのオフロード(タックルされて相手に捕まりながらパスすること)や、難しいパスを狙っては失敗し、みすみすボールを失う場面が散見された。ディフェンス面でも、前に出て相手を内側に追い詰めるものの、まんまと外側のギャップを突かれるというのが、お決まりの失点パターンだった。

 それらが9連敗中だった頃のチームと比べて、レッズ戦、ストーマーズ戦では圧倒的に減っていた。

 ではなぜ、フィフティ・フィフティのプレーを選んできたのか。要は、それ以上に魅力的な選択肢が自分たちになかったからだ。

 様々な要因はあったと思うが、プレー選択を迫られた場面で、自分にとって都合のいい解釈をして、上手くいくか、いかないか分からない五分五分のギャンブルを選んでしまう――。

課題のキャッチングが目に見えて向上。

 ではなぜ、フィフティ・フィフティのプレーを選ばなくなったのか。ポイントは2つあると見ている。

 ひとつは、ファンダメンタル・スキルの向上が挙げられる。

 ファンダメンタル・スキルとは、ラグビーをする上で土台となる基礎的な小さな技術のことである。端的なのはキャッチングだ。ハイパントキャッチの拙さは日本人選手の長年の課題であったが、目に見えて上手くなっている。

 タイトファイブ(プロップ、フッカー、ロックの5選手)のアーリーキャッチも格段によくなっている。アーリーキャッチとは、体より内側でボールを保持するキャッチのことで、体の真ん中でボールを受けるより、判断時間を延ばすことができる。

 これらの基本スキルが向上したことで、プレー選択の幅が広がった。わざわざ五分五分のプレー、例えば難しいオフロードを通すより、自分たちで仕掛けてパスをしっかりつないで、と、確実性のより高いプレーを選ぶことの方が「おいしい」と思えるようになっているのだ。

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