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羽生結弦の五輪連覇が火をつけた、
タカマツペア「自分たちも挑戦」。
posted2018/05/18 07:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
まぶしいきらめきに包まれた至福の瞬間から、1年9カ月の時間が流れた。
“タカマツ”こと高橋礼華と松友美佐紀の女子ダブルスペアが、日本バドミントン界に初の金メダルをもたらした'16年夏のリオデジャネイロ五輪。全身全霊を懸けて栄光をつかんだその先の道で、モチベーションの回復に苦悩する姿を見せることの多かった2人がようやく、燃え上がる心を取り戻している。
5月10日に行なわれた男女の国・地域別対抗戦「トマス杯・ユーバー杯」(5月20~27日=タイ・バンコク)の日本代表発表会見。女子ダブルス代表として登壇した2人は、何か吹っ切れたようなすがすがしさを見せていた。
自身4度目の「ユーバー杯」となる高橋は、2大会連続でキャプテンを任され、37年ぶりの優勝を目指して大いに意気込んだ。
「キャプテンらしくとかではなく、1人の人としてみんなを引っ張っていける存在になりたいです。チームメートがコートで私の背中を見て“よし、やろう!”という気になってくれればいい」
気力にあふれる表情だった。リオ五輪のポストイヤーだった昨年は、主要大会に出続けながらも気持ちの上がらない日々が続き、苦しんでいた。世界ランクは上位をキープしていたが、優勝もすれば1回戦負けもあるなど、安定感を欠いた。黒星を喫して悲痛な涙をこぼすこともあった。
「選手として続けるのか辞めるのか」
トップを極めた選手にとって、モチベーションの問題はとてもデリケートなものだ。高橋は、会見後に設けられた囲み取材の場でメンタルの変化について丁寧に説明した。
「昨年1年間は、選手として続けるのか辞めるのか、自分の中でいろいろ考えながらやっていた部分はありました。リオで金メダルを目指していた時とは立場も気持ちもガラッと変わって東京五輪を迎えることになるのは、やっぱり苦しい道だな、と」