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昨年準優勝の川崎を千葉が制す。
エース富樫勇樹が見せた“有言実行”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2018/05/15 18:15
観客は満員の5108名。ブースターの大声援を受けて、千葉は天皇杯に続く二冠の達成へと進み続ける。
最後の局面で……マークが変わった!
しかし、そこで引き下がらないのが、川崎の強さである。
藤井祐眞を起点とした5連続得点もあり、残り55.9秒で17-16と千葉のリードは一気に減り、川崎ボールとなっていた。
残り48.1秒。
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この日の船橋アリーナでもっとも脅威をはなっていた藤井の身体を投げ出してのレイアップをライオンズがブロックする。千葉ボールだ。小野からボールを受け取った富樫がすぐにボールを運ぼうとしたが、辻が素早く反応して、富樫の出だしを封じる。千葉最大の武器である速攻を防いだのだ。
すでに40分近くプレーしていたにもかかわらず、辻がとっさに体を反応させることができたのは、川崎がチーム一丸となってミッションを遂行できる素晴らしいチームであることを象徴していた。
ただ、結果的にはこれが勝敗をわけてしまう。
GAME2で富樫が1点も決められなかったのも、藤井の驚異的なディフェンスとは無縁ではなかった。にもかかわらず、この局面では石井をマークしていた辻が富樫に、富樫をマークしていた藤井が石井につくことになった。
勝敗を決めた富樫のフローターシュート。
速攻を封じられた千葉は、富樫がゆっくりボールを運んでいくが、藤井を引き連れた石井はコート右奥にいて、藤井と辻にマークをスイッチするタイミングを与えない。そして、エドワーズが、富樫をマークする辻にスクリーンをかけて、最近の川崎戦ではほとんど使用していなかったセットオフェンス(*速攻ではなく、チームで態勢を整えてから始まる攻撃)が始まる。富樫は、藤井のいない左サイドからゴールに近づいた。
残り24.9秒、ライオンズのマークを捨てカバーに来た203cmのデービスをあざわらうように、富樫がフローターという柔らかい弧を描くシュートを決めて、18-15。
「勝負を決める攻撃は自分のところから始める」
シーズン前にそう語っていた富樫が、有言実行のプレーを見せた。
直後の川崎の攻撃は決まらず、最後は4本のフリースローを決めた千葉が、22-15で勝利をおさめた。
両チームで最も多くの得点を決めたのは誰よりも走れる千葉のエドワーズで、ライオンズのブロックから富樫のシュートまで、GAME2で本来の力を出せなかった2人のビッグプレーで結局は勝負がついたことになる。
そして、そのプレーのきっかけにしても、「アグレッシブなディフェンスから走る」という明確な理念があったからこそと言える。
CSの歴史に今後も残るような激闘を演じた千葉と川崎。
その間にあった差は、ごくわずか。
明確な理念を起点に、どうしたら成長していけるかを考えたクラブが一丸となって取り組んできた信念が、幸運をたぐり寄せたのだ。