バスケットボールPRESSBACK NUMBER
Bリーグ準々決勝のビッグショット。
三河・比江島慎が天を指した理由。
posted2018/05/14 17:00
text by
青木崇Takashi Aoki
photograph by
B.LEAGUE
昨シーズンのセミファイナル第3戦、シーホース三河は栃木ブレックス相手に残り30秒で2点をリードしていた。ところが、頼りになるはずの比江島慎が時間を最大限使うことを優先せず、得点機会と感じて仕掛けてしまう判断ミスが要因となり、まさかの逆転負けでB1制覇を逃した。
鈴木貴美一コーチはタイムアウト中における自身の指示が甘かったことを悔やみ、大黒柱である桜木ジェイアールは、第3戦で1分もプレーできなかったことに対するフラストレーションを感じてのシーズンエンド。比江島はこう語る。
「常に(あの敗戦が頭の中に)ちらついていましたし、本当に成長した姿をファンの皆さんに見せたかった。絶対勝たせるという強い気持ちを持ったので、去年とは気持ちの部分で違いました」
今シーズンの三河はこの敗戦を1日たりとも忘れることなく、モチベーションとして全員で共有し、戦い続けた。
60試合のレギュラーシーズンでB1最高成績を残すと、チャンピオンシップのクォーターファイナルで、チームのだれもが待ちわびていた栃木へのリベンジの機会を手にする。
第2戦の終盤、栃木の猛攻にさらされ……。
第1戦は3Q途中で7点をリードされる展開になったが、ディフェンスの奮闘と金丸晃輔の26点という爆発が決め手となって、77-63のスコアで勝利。
第2戦も橋本竜馬が3Pシュートを3本決め、シーズン途中で加入したコートニー・シムズも12点、11リバウンドと奮闘したこともあり、三河は最大で21点のリードを奪った。
しかし、オフェンスの起点となる桜木ジェイアールが3Qでファウルトラブルに陥ってベンチに下がると、試合の流れは一変。栃木の猛攻がスタートする。
鵤誠司の3Pシュートをきっかけに13連続得点を奪われると、三河は桜木を4Q残り5分24秒にコートへ戻したものの、わずか6秒後にドライブしたジェフ・ギブスに対するディフェンスで5つ目をコールされてファウルアウト。
冷静で的確な状況判断ができる点でも貴重な存在を失った三河は、じわりじわりと差を詰められていく。