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昨年準優勝の川崎を千葉が制す。
エース富樫勇樹が見せた“有言実行”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2018/05/15 18:15
観客は満員の5108名。ブースターの大声援を受けて、千葉は天皇杯に続く二冠の達成へと進み続ける。
指揮官は、富樫に絶対の信頼を寄せていた。
例えば、バトミントンなどでも、プレーが上手くいかないときには、あえて使用するラケットを試合途中に替えることがある。上手くいかない原因を試合中に探る時間はない。そのために、試合中にはいったん、道具を変えることで気持ちを切り替える作業をする。
「コートに残ってシューティングをするかとも考えましたけど、今日の試合に関しては気持ちの問題かなというところがあったので……。(シャワーを浴びて気持ちを切り替えて)本当に良かったなと思います」
「彼は背負っているものがあるというのを、自覚してもらいたいという考えはありました」
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大野は富樫を送り出した意図をそう話したが、この舞台でそこまで大胆な行動に出られるところにも指揮官が信頼を寄せる理由はあった。
シーソーゲームの均衡を崩したのは?
GAME3が始まるまでに、かくも多くの戦略と想いが交錯していたのだ。それがGAME1で先勝していたチームのアドバンテージだったのかもしれない。
GAME3は、シーソーゲームの様相を呈した。
エドワーズは期待に応えるかのように立て続けに3つのゴール決めたが、川崎も簡単には引き下がらない。開始から3分5秒の時点6-6の状況で小野が放ったシュートは、ジョシュ・デービスにブロックされてしまう。24秒あったショットクロックは、この時点で残り1秒。川崎のベンチも、デービスのブロックショットにわきあがった。
ここで大野HCはすかさずタイムアウトをとった。実は、極端に時間のない状況でオフェンスのチャンスがある場合のセットプレーを用意していた。しかし、GAME1では大勝し、GAME2では最後に10点差となっていたために、プレーを使うタイミングがなかった。そういう意味では千葉に運があった。
ここで任されたのがシューターの石井だった。
これを決めて、8-6。一度はデービスのシュートにわいた川崎がダメージを受ける。そんな状況で川崎の攻撃。最後は川崎のエースの辻にボールがわたったが、石井が密着して自由を奪い、24秒オーバーで千葉ボールへ。
そこからGAME2で影を潜めていたライオンズ、富樫の3Pが連続で決まり、14-6となってハーフタイムを迎えた。