卓球PRESSBACK NUMBER
世界卓球決勝に見た「中国の壁」。
日本女子はいつ越えられるのか?
posted2018/05/14 08:00
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph by
AFLO
スウェーデン南西部の街ハルムスタッドで8日間にわたって開かれた「世界卓球2018(団体戦)」が5月6日、幕を閉じた。今度こそ「打倒中国」を掲げ、大一番に臨んだ日本代表チームは女子が準優勝、男子はベスト8という結果に。男子は2008年広州大会から続いたメダルが途絶え、女子も目標である決勝進出を果たしたものの、またも中国の壁を越えることができず3大会連続の銀メダルにとどまった。
一方、中国女子は大会4連覇とともに通算21回目の優勝を挙げ、大会記録を更新している。
高くそびえ立つ巨大な壁、中国。日本も着実に戦力を上げていることは間違いないが、中国を倒す突破口は見えそうで見えてこない。現在、両者の間にある差は何なのだろうか。今回の世界卓球2018女子決勝に見た、中国の日本に対する戦い方からあぶり出す。
台からやや下がり日本のスピードに対応。
ボールに豊富な回転をかけパワーで押してくる中国に対し、スピードで勝負する日本の卓球は前陣で台に張り付き、速いピッチで攻撃をたたみかけるのが特長だ。このスピード卓球に対応するべく、中国が取った対策の1つが台からやや下がるプレーだった。
今回の中国女子代表の中で最もパワーのある丁寧はもちろん、比較的前陣でピッチの速いリュウ・シウェンも同様の対策を取ってきた。前陣速攻型の伊藤美誠(スターツSC)、超高速両ハンドドライブを武器に持つ平野美宇(日本生命)との対戦では、台から少し距離を取り、数本ラリーを続けた後にカウンター攻撃に転じる、あるいは相手のミスを誘う球種やコースを使ってきたのだ。
この戦術に対して日本はラリーに持ち込まれると不利になるとの意識から、早い段階でポイントを決めようとして強打し、ミスにつながることが多いように感じられた。
特に2、4番手の2点起用でエースポジションを任された平野は丁寧にもリュウ・シウェンにもあえて「打たされた」印象があり、全力で打ったボールがオーバーしたり、コースを読んで待たれてカウンターを食らったりする場面が少なくなかった。