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協会、ハリル、そして選手たち。
解任劇には三者三様の責任がある。 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2018/04/25 07:00

協会、ハリル、そして選手たち。解任劇には三者三様の責任がある。<Number Web> photograph by Getty Images

ハリルホジッチ氏の記者会見で何が語られるのか。日本のサッカー界がその日を戦々恐々と待っている。

「問題はなかった」というが。

 そしておそらく、問題は監督と選手の関係には留まらないだろう。スタッフとの関係にも問題があったのではないか、という想像は容易い。信念の強さがマイナスに働き、周囲の声に耳を貸さないこともあったのかもしれない。

 相手を徹底的に分析し、戦術を立て、最後の最後で力を発揮するというのがハリルホジッチ氏の評価だった。しかし、その能力を発揮する土壌がないと協会は判断したのだろう。西野新監督は就任会見で「代表は崩壊していない」と話したが、その発言自体が「崩壊直前だった」という危機感の裏返しでもある。

「問題はなかった」

 解任後に、ハリルホジッチ氏は報道陣にそう語った。ただ彼自身がそう思ったとしても、問題があると感じた人間がいたからこそ、解任は現実のものになった。ハラスメントの多くは、相手の気持ちを理解できないことで生じるのだ。

 もっとも、最大の責任はハリルホジッチ氏を招聘し、彼の力を引き出せなかった協会にあることは間違いない。

残り2カ月、できることは。

 ワールドカップまで残り2カ月弱。しかも代表が使える時間は数週間しかない。

 そういう状況での監督交代は、確かにネガティブだろう。

 余裕はない。だからこそ、やれることをやりきることが重要だ。その過程では、ハリルホジッチ氏が植えつけてくれたものがチームのベースになるはずだ。

 余裕はなく、あるもので勝負するしかないという覚悟を西野監督が示せるだろうか。新監督にありがちな、新しい選手起用や戦術を試し、自分の色を出すということに注力するのは危険だ。そんな時間はない。今は緊急事態なのだから。

 鍵となるのは、いかに共通意識を持って自発的に選手たちが動けるか。

 救世主もヒーローもいらない。誰もがチームのために仕事ができるか。ブラジルW杯で示せなかった自主性や個人の力が試される。

 3大会連続出場のベテラン選手が今なおチームの中心となることの是非はもちろんあるが、彼らの経験を軸にチームを構築するのが現実的だ。選手の特長を知るのもチームメイトに違いない。

 そのためにも西野監督には新しいことを試すこと以上に、まず現実を整理し、合理的なチーム運営を期待する。

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