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急造の西野ジャパンも学ぶべき!?
豪代表ファンマルバイクの超合理主義。
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byAlain Mounic
posted2018/04/22 09:00
サウジ代表のW杯出場決定後、本大会へ向けての代表監督を続ける諸条件に納得がいかず、自ら契約延長を拒否したファンマルバイク。
ヒディンク以降、3人のオランダ人が豪代表を指揮。
オランダ人指導者は、400年前の船乗りたちと同様に今も世界を股にかけている。
彼らにとってオーストラリアは、絶好の係留地であった。
ヒディンクが代表監督に選ばれた2005年以降、3人のオランダ人がオーストラリア代表のベンチに座っている。ロブ・バーン(2007年)とハン・ベルガー(2010年)、ピム・ファーベーク(2007~10年)がそうで、ファンマルバイクは4人目になる。
就任は驚きだった。
ワールドカップ・アジア最終予選で彼は、サウジアラビア代表監督としてオーストラリアと戦い、得失点差で本大会出場を果たしていたからだ。
大陸間プレーオフに回ったオーストラリアは、ホンジュラスを破りロシア行きのチケットを獲得したものの、その1週間後にアンジェ・ポステコグルー監督が突然の辞任を発表。代わって指揮を執ることになったのが、サウジアラビア代表を辞めたばかりのファンマルバイクだった。
アシスタントコーチにマルク・ファンボメルを連れての赴任。しかし期間はワールドカップ終了までで、その後は'06年ワールドカップでヒディンクのアシスタントコーチを務めたグラハム・アーノルドが引き継ぐことになっている。
目指すはヒディンクの偉業超え!
オーストラリア協会が望むのは、12年前にヒディンクが成し遂げた偉業の再現だ。
ブラジル、クロアチア、日本と同じグループに入ったオーストラリアは、ブラジルに次ぐ2位でグループリーグを突破、ベスト16では数日後に世界チャンピオンとなるイタリアに0-1で惜敗した。
就任後の親善試合では、ノルウェーに1-4と敗れコロンビアには0-0の引き分け。まだまだ課題が山積していることを示している。
ヒディンクと同じ血統を引いてはいないが、ファンマルバイクは彼と同じ価値観を共有している。それは結果へのこだわりであり、必要と状況に応じた臨機応変な指揮である。言葉を換えればそれは自分たちと相手の戦力を客観的に分析し、どう現実的に対応していくかということでもある。