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相手にボールを触らせずリーグ制覇。
ペップとマンCは理想形へ突き進む。
posted2018/04/21 11:30
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
4月15日、友人とゴルフに興じていたジョゼップ・グアルディオラ監督のもとに、意外なニュースが舞い込んできた。
「マンチェスター・ユナイテッド敗戦」
この瞬間、マンチェスター・シティの4シーズンぶり5回目のリーグ優勝が決定した。残り5試合での戴冠は1907-08シーズンと2000-01シーズンのユナイテッド、1984-85シーズンのエバートンに並んでリーグ最速タイのスピード記録である。
今シーズンのシティは異次元の強さだった。
33試合終了時点で28勝3分2敗。得点はリーグ最多の93を数え、失点25は最少だ。基本戦略のハイライン・ハイプレスが浸透し、ポゼッション率もリーグ最高の71.2%に達している。昨シーズン終了時のデータである64.9%と比較しても、「究極のゲームプランは相手にボールを触らせないこと」というグアルディオラの理想形に、また一歩近づいたといって差し支えないだろう。
ペップの大胆な補強戦略が奏功。
シティの勝因として、グアルディオラの大胆な補強戦略が挙げられる。
パブロ・サバレタ、ガエル・クリシ、バカリ・サニャ、アレクサンダル・コラロフといった30代のDFを惜しげもなく放出。代わってカイル・ウォーカー、ダニーロ、ベンジャミン・メンディ、アイメリック・ラポルテなど、20代の有望株を数多く獲得している。
退団を余儀なくされたベテランは、グアルディオラが着任するまでのシティに少なからず貢献していた。サニャを除く3選手はリーグ優勝した2011-12シーズン、2013-14シーズンの主力である。サバレタとコラロフはサポーターにも厚く支持されていた。
しかし、キックの精度が低かったり、プレスをかけられると慌てふためいたり、ポジショニングを誤ったり……。グアルディオラのゲームプランに合致したタイプとはいえなかった。