ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
ハマの快進撃支える“恐怖の9番”。
倉本寿彦のサバイバル野球哲学。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2018/04/16 17:00
社会人・日本新薬では1年目からショートのレギュラーで、2015年にはDeNAでも新人ながらショートの開幕スタメンを務めた。
他の選手のバットを借りて、合う物を探す。
このような危機感や競争心があるがゆえ、チーム状況が良いのもうなずける。
レギュラーであり続けるため、サバイブしていくためには変化、そして進化していかなければならない。現状を打破し、ビルドアップし続けることが大事だと倉本は強く認識している。
また倉本といえば、他の選手からバットを譲り受け自分にアジャストするものを探しているという話をよく聞くが、今季も4月12日に早くもバットを変えた。後輩の柴田竜拓のモデルだという。
開幕からバッティングの調子は決して悪くはなかった。だが倉本は変化を求めた。バットを変えれば当然打てなくなる可能性もあり、リスクを背負うことになる。
「常に次の手を打たないと。代えられてしまう」
「正直、今までのバットがしっくり来ていなかったんです。それを思い切って変えたんですけど、いい感じですよ」
手応えを感じている、明るい表情。そして確信を込め、こう続けた。
「常に次の手を打たないと。成績が落ちたら代えられてしまう。だからこそ思いきってやるしかない。この2~3年でわかってきたのは、変わらない部分も必要だけど、思い切って変えていくことも大事だということ。その上で、本当に少しでもいいプレーをして、チームのプラスになりたい」
ラミレス監督は倉本を「“とにかく野球がしたい”という気持ちが誰よりも強い選手」と評している。プレーし続けるためには絶対にレギュラーを譲るわけにはいかない。
常にファイティングポーズをとり続ける恐怖の9番打者のチームに対する必死の献身は、果たしてどのような花を咲かすことになるのだろうか。