ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
ハマの快進撃支える“恐怖の9番”。
倉本寿彦のサバイバル野球哲学。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2018/04/16 17:00
社会人・日本新薬では1年目からショートのレギュラーで、2015年にはDeNAでも新人ながらショートの開幕スタメンを務めた。
9番打者の泥臭い活躍でチームは破竹の8連勝。
倉本がこだわりを捨て大きく変化することを厭わなかったのは、じつは今回が初めてのことではない。
入団1年目のこと、倉本はフルスイングをして長打を狙うスタイルに強いこだわりがあったのだが、結果が出ないと分かると翌年からはスイングをコンパクトにし、逆方向へ軽打を狙うスタイルに転換した。それが功を奏し、レギュラー獲得へと至っている。
今シーズンはまだ序盤に過ぎないが、4月16日現在、倉本は打率.300、得点圏打率.500と勝負強さを発揮している。
恐怖の9番打者である倉本の泥臭い活躍もあり、チームは破竹の8連勝を飾っている。
「今年は“(監督の)判断が早い”と感じている」
振り返れば昨シーズンの4月は散々だった。打率は1割台に低迷し、なかなか出口が見つからず塗炭の苦しみを味わった。
しかし、今季は出だし好調。いくぶん安堵しているのかと思いきや、倉本は逆に危機感を露わにした。
「昨シーズンのような成績だったら、きっと試合に出られていないと思います。今年は“判断が早い”と強く感じていますから」
見切りの早さというべきか、ご存知かとは思うが昨季全試合に出場したレギュラーの桑原将志は、今季調子が上がらず、開幕早々スターティングラインナップから外されている。昨季は一度レギュラーと見定めたらどんなに調子が悪くても起用し続けたラミレス監督であるが、今季は選手層が厚くなってきていることもあり、判断基準が以前とは異なっている。
「それはすごく肌で感じています。隙を見せたらやられてしまう。もし自分の数字が悪かったら絶対に他の選手にチャンスが行くでしょう。だからこそコツコツやっていかなければいけないんです」