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世界を変えた最強の両翼“ロベリー”。
バイエルンで最後の疾走を見届けろ。

posted2018/04/13 10:30

 
世界を変えた最強の両翼“ロベリー”。バイエルンで最後の疾走を見届けろ。<Number Web> photograph by Getty Images

左にリベリー、右にロッベン。カットインからの決定機演出は、バイエルンの象徴であり続けた。

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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 カウントダウンが始まった。

 フランク・リベリーとアリエン・ロッベンがバイエルンに別れを告げる日が刻一刻と近づいている。両雄ともにクラブとの契約は今シーズンいっぱいで満了。すでに提示された模様の新契約を受け入れ、来年6月までミュンヘンに留まるかもしれないが、あと1か月ほどで“ロベリー”が見納めになる可能性も否定できない。

 いずれにせよ、最長でも1年だ。世代交代を検討しているバイエルンが、それ以上の時間を与えることはないだろう。幸い、チャンピオンズリーグでも準決勝進出を決めた。一つひとつのプレーを目に焼き付けておきたい。

 2006年のドイツワールドカップでフランス代表の準優勝に貢献し、1年後に鳴り物入りでドイツの盟主に加入したリベリーは、その後の約11年間でバイエルンの外国人最多出場記録を塗り替えた。4月11日現在、公式戦通算382試合・117ゴール。アシストはクラブレコードの178を数える。今シーズンも29試合で6ゴール・5アシストと堅調だ。

 4月7日に35歳の誕生日を迎えたが、衰えるどころか調子を上げ、ブンデスリーガ第28節のドルトムント戦(1ゴール・1アシスト)やチャンピオンズリーグ準々決勝・第1レグのセビージャ戦(2アシスト)など、ビッグマッチでも輝きを放っている。

全盛期ほど速くないが切れ味は鋭い。

 さすがに全盛期ほどのスピードはない。対峙した相手を振り切って、縦にぶち抜くケースは減った。純粋なスプリント力なら、チームメイトのキングスレー・コマンが上回っているだろう。

 それでも頑強な体躯と正確なボールタッチを活かしたキープ力やカットインからの切れ味鋭い仕掛け、ゴールに向かう積極性などは健在だ。付け加えるなら、途中交代時に不貞腐れたような態度を取るのも若い頃から変わっていない。

 そんな人間味溢れるレジェンドを、バイエルンのサポーターたちは心から敬愛している。

 今から9年ほど前、フランスの歌曲『オー・シャンゼリゼ』のメロディーに合わせたリベリーの応援歌がファンの間で大流行した。その歌詞の中にこんな一節がある。

「ヤツは大きくない。かなり小さい。でも、俺たちの王様になるべきだ」

 その期待どおり、リベリーは“バイエルンの王”になった。もたらした栄冠は数知れず。2012-13シーズンにはクラブ史上初となる3冠達成の立役者になり、2013年のバロンドール受賞に大きく近づいた。結局、クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシに次ぐ3位に終わったものの、「リベリーこそ受賞すべきだった」との声は根強く残っている。

【次ページ】 ラームも足を止めた疾風迅雷ロッベン。

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