プレミアリーグの時間BACK NUMBER
国民の心に火をつけるリバプール。
CL制覇を実現できる幾つかの理由。
posted2018/04/14 11:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
CL優勝か――。
4月半ばのイングランド国内は、にわかにざわめいている。
プレミアリーグは、首位のマンチェスター・シティが戴冠秒読み状態に入った。そのシティを、リバプールはCL準々決勝で合計スコア5-1で下した。
プレミア対決を制したリバプールは欧州制覇できるか。サッカー好きな庶民の一大関心事と言えるかもしれない。
そもそも、リバプールは英国人の琴線に触れるクラブだ。例えば3点差を追いつき、PK戦の末にミランを下した2004-'05シーズンのCL制覇は、「イスタンブールの奇跡」として記憶されている。
また今から3年前には、1989-'90シーズン以来のリーグ優勝に肉薄。“レッズ”生え抜きのキャプテンだったスティーブン・ジェラードにとって悲願達成のラストチャンスだったこともあり、タイトルを争っていたシティのファンを除く全国民がリバプールの背中を押している、と言われたほどだ。
加えて、現チームは指揮官がいい。ユルゲン・クロップ監督は攻撃的スタイルを好み、若手の登用を恐れず、笑顔とユーモアを絶やさない。そのキャラクターは、好きにならない方が難しいだろう。
コウチーニョがバルサに去っても一体感。
クロップ体制3年目のチームに、超ワールドクラスは不在だった。今冬の移籍市場ではフィリペ・コウチーニョをバルセロナに引き抜かれたが、醸し出す一体感を強めながら成長を続けている。
この流れに「贔屓心」がくすぐられないはずがない。
リバプールがCLベスト4入りを決めた直後、国内ブックメーカーがつけた優勝オッズはレアル・マドリーとバイエルンに次ぐ3番手扱い。だが、テレビ解説者として「我がクラブ」の準決勝進出を見届けたジェラードは、進行役のガリー・リネカーに「優勝できそう?」と訊かれて、間髪入れずに「イエス」と答えていた。
リバプールのU-18監督であるジェラードのクラブ愛が強いのは間違いない。とはいえ準決勝でレアル・マドリー、バイエルン、ローマのいずれと当たったとしても、リバプールが勝ち抜ける可能性は十分にある。
決勝トーナメントに入ってからの4試合でR・マドリーは5失点、バイエルンは2失点、ローマは6失点。バイエルンの堅守は光るが、今季のCLで計23ゴール9アシストを誇る3トップを擁するリバプールとしては、いずれも希望の持てる相手と考えられるからだ。