バレーボールPRESSBACK NUMBER
Vリーグ男女優勝チーム、強さの源。
パナソニックと久光製薬の共通点。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2018/04/03 10:30
2年ぶり6度目の優勝を果たした久光製薬。MVPは全日本にも選出されている石井優希が獲得した。
苦しい時に大きかったベテランの存在。
もう1つの共通点は、チームが苦しい時に支えとなるベテラン選手の存在だ。
久光製薬は今シーズン、プレミアリーグと12月に行われた皇后杯を合わせて全32試合を戦い、二度しか負けなかった。
しかしその2敗の影響は大きかった。
最初は皇后杯準々決勝、デンソーエアリービーズ戦。それまでリーグで全勝だった久光製薬は皇后杯でも当然優勝候補だったが、今季初の敗戦で皇后杯優勝を逃した。
2度目はファイナル6最後のJTマーヴェラス戦。ファイナル進出に王手をかけていたが、セットカウント0-3で敗れてリーグでの連勝が25でストップし、ファイナル3に回ることになった。
久光製薬の選手たちは、他チーム以上に1つの負けを重く受け止める傾向があり、切り替えがうまくはない。しかも二度の敗戦は負けてはいけない試合での敗戦。チームの空気はとてつもなく重かった。石井は「特に皇后杯で負けたあとはチームがバラバラになりそうになった」と振り返る。
古藤や座安が担った「発信役」。
そんな時にチームをつなぎ止め、支えたのがベテラン選手の古藤や座安琴希だった。
「負けた時に発信する人が必要だった」と座安は言う。
「このチームは負けた後の落ち方が、たぶん他のチームの倍以上だと思う。勝つことの難しさも、負けることですべてを失う怖さも知っているから。7年連続で決勝に進みながらも、負けたシーズンが何回もあった。だからシーズン途中に負けると、あのときの感情がフラッシュバックする。これが決勝だったらすべてが終わる、というふうに置き換えてしまうんだと思います。
でも1つの負けで自分たちのやってきたことを疑い始めるとチームが崩れるので、次にその相手と当たった時にどうするかという対策の方に、みんなの目を向けることを意識しました」