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Vリーグ男女優勝チーム、強さの源。
パナソニックと久光製薬の共通点。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2018/04/03 10:30
2年ぶり6度目の優勝を果たした久光製薬。MVPは全日本にも選出されている石井優希が獲得した。
久光製薬の「データ量はすごいですよ」。
一方、女子の久光製薬も、ファイナル3やファイナルで、セッターの古藤千鶴が相手ブロックの特徴を踏まえながら、石井優希や野本梨佳のレフト攻撃を時折少し中に切れ込ませて効果的に決めさせるなど、データをもとにした絶妙な駆け引きで相手を揺さぶった。
久光製薬の酒井新悟監督はこう語った。
「データ量はすごいですよ。優秀なスタッフ陣があらゆる情報をかき集めてくれています。放送された試合を見返して、タイムアウト中の相手ベンチの言葉まで聞いていますからね」
さらに、選手のコンディショニングにもデータを活用している。
久光製薬では練習中、選手にセンサーをつけてジャンプの回数をカウントし、コントロールしている。
「例えば、(フォルケ・)アキンラデウォはどちらかというと年齢も上ですし、ジャンプのしかたが男子的なので、1回のジャンプにかかる負荷が大きい。回数を抑えておかないとパフォーマンスに影響するので、コントロールしながら練習しています。
その他の選手も、強化の時期は150~200回、コンディショニングの時期は100回ちょっとに抑えるのが理想。まあ、ここまでは練習でやっておきたいというところと、コンディショニングのバランスは難しいところではありますが」(酒井監督)
パナソニックはジャンプ数を厳密に管理。
パナソニックも同様に、毎日の練習で選手にセンサーをつけ、ジャンプ数を厳密に管理している。
「200回は絶対に超えないようにしていて、超えそうになったら『終わろうか』となりますし、選手ごとに『お前はもう今日はあがれ』とか、『最後にサーブ練習をするけど、お前は6本まで』と言われたり。シビアに考えてくれています」と深津は言う。
両チームとも、昨シーズンは主力選手に怪我が相次いだことから、今シーズン導入した。
「怪我のことが一番、気が気じゃない。負けることよりも、怪我人を出すことが一番ダメなことなので」と酒井監督は力を込める。
ただ、細心の注意を払っても防ぎきれない怪我はある。パナソニックは、好調だったオポジットの清水邦広がファイナル6のJTサンダーズ戦で右膝前十字靭帯損傷という大きな怪我を負い離脱した。それでも、今シーズンは他の選手に大きな怪我がなかったために、総力で補い優勝することができた。