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Vリーグ男女優勝チーム、強さの源。
パナソニックと久光製薬の共通点。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2018/04/03 10:30
2年ぶり6度目の優勝を果たした久光製薬。MVPは全日本にも選出されている石井優希が獲得した。
「チーム全体がうまく循環するように」
皇后杯で敗れた後は、課題を選手間で話し合い、選手が自ら練習メニューを組み立ててスタッフに提案するよう促した。
リベロの座安は昨季、フランスリーグのカンヌでプレーし、今季、久光製薬に復帰した。その時、酒井監督から「異性が踏み込めないところに踏み込んでほしい」と選手間のまとめ役を期待された。
今季はセット後半にレシーバーとしてコートに入るという難しい役割に加え、コート外でも常にチーム全体に目配りや言葉がけをし続けた。
「ずっと試合に出ていたら自分のことに集中しちゃうと思うけど、今季はどちらかというと、若手を育成しながら、チーム全体がうまく循環するようにということを意識しました」
清水の離脱に動揺しなかった永野の存在。
プレーだけでなく言葉でもチームを引っ張り、鼓舞する存在。
パナソニックでは永野がそうだ。
4年ぶりの優勝に向けて順調に突き進んでいたパナソニックにとって、清水の離脱はあまりに大きな痛手だった。2月18日の試合中に清水が担架で運ばれた後、コートに残された選手たちの表情はこわばっていた。その中で永野だけは、いつもの、少し笑みを含んだ余裕ありげな表情で、普段通りに周りに声をかけ続けた。
その後の試合でも、「清水の分まで自分がカバーしよう」と力が入る選手たちに、「練習通りやれ。そんなにカッカカッカしても、同じ1点しか入らないんだから」と言って肩の荷をおろさせた。
コートの中で周囲に与える安心感は絶対的なものがある。経験豊富な福澤達哉でさえ、「永野さんは僕にとって拠り所です。リベロとしての仕事だけじゃなく、声のかけ方だったり、目に見えない部分でチームを回して、鼓舞する。いろんなリベロがいますが、それはたぶん永野さんしか持っていないものなんじゃないかなと思います」と言う。