ドイツサッカーの裏の裏……って表だ!BACK NUMBER
天才、知性、規律、あと何が必要か。
W杯連覇へドイツに唯一足りない物。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byGetty Images
posted2018/03/30 11:15
ブラジル戦こそ敗戦し、前回W杯の雪辱を果たされた形だが、ドイツ代表の本領が試されるのはロシアW杯だ。
ボアテンク、ケディラが“狙い目”に。
一方、守備ではノイアーの代役を担ったマルク・アンドレ・テア・シュテゲンが大きな輝きを放ち、『Express』紙は「ノイアー不在でも問題ない」と改めて太鼓判を押している。スペイン戦で得られたドイツ最大の収穫は「自信」のはずだ。
もちろん、課題が見当たらなかったわけではない。
相手のプレッシングに苦しんだのがCBジェローム・ボアテンクやMFサミ・ケディラで、前者は状況判断を誤り、失点に繋がるミスも犯している。スペインほど洗練されたハイプレスを仕掛けるチームは限られるものの、ドイツ代表の中では決して足下の技術に優れるほうではないこの両雄がW杯で対戦する相手の“狙い目”になってもおかしくない。
一方、27日のブラジル戦は0-1で敗戦し、ヨアヒム・レーブ現体制下で最長の無敗記録が22で止まった。それとともにより多くの課題が浮き彫りになった。
指揮官はスペイン戦の先発メンバーから7人を入れ替え、レオン・ゴレツカやレロイ・サネら数多くのサブをピッチに送り込んだが、普段どおりの好プレーを見せたのは主軸のトニ・クロースやヨシュア・キミッヒくらい。ベルナーの代わりにCFに入ったマリオ・ゴメスは対峙したチアゴ・シウバに封じ込められ、メスト・エジルの代わりにトップ下を務めたユリアン・ドラクスラーにしても、終了間際の枠内シュート以外に見せ場を作れなかった。
ブラジル戦後にクロースが同僚を批判。
南ドイツ新聞が「Bチームで臨み、パフォーマンスはC」と評したように、ブラジル戦が実りのない試合になったのは確かだ。
ミネイロンの惨劇(ドイツがブラジルに7-1で勝利したブラジルW杯準決勝)の記憶を払拭しようと「高いモチベーションを持ち、試合に臨んできた」(レーブ監督)セレソンを相手に、Bチームで臨んだ指揮官の判断にも疑問符が付く。ドイツ戦からほぼメンバーを変えずアルゼンチン戦に臨んだスペインのような“本番仕様”の選択肢もあったはずだ。
ブラジル戦後には、ちょっとした“事件”も起きている。ZDF(第2ドイツテレビ)のインタビューに応じたクロースが「何人かは自分自身を見せるチャンスだったのに、それができなかった」とチームメイトを厳しく批判したのだ。しかし、これが内紛の火種になると考える識者は少なく、むしろ『Express』紙などはこの発言を歓迎している。