ROAD TO THE DERBY 2018BACK NUMBER
福永祐一、悲願のダービー制覇は?
ワグネリアンは負けて更に強くなる。
text by

平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byPhotostud
posted2018/03/07 11:15

父はディープインパクト、母の父はキングカメハメハ。ワグネリアンはまさに日本の黄金血統なのだ。
新馬戦から32秒台の末脚を披露。
弥生賞までにワグネリアンは3戦を消化していた。
デビューは2017年7月16日、中京競馬場芝2000mの新馬戦。超スローで流れたこのレースで上がり3ハロンは32秒6というラップをマーク。俗に33秒台を出せば「切れる脚をもっている」と言われる中で、並でない瞬発力を披露した。
続く2戦目は同年9月16日、阪神競馬場芝1800mの野路菊S。初戦とは一転して雨中の重馬場。初戦でみせた瞬発力が殺されるシチュエーションかと思われたが、ここでも上がり33秒0という脚で差し切り。2着に2馬身半の差をつけて楽勝してみせた。
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そして迎えた3戦目。同年11月18日に出走したのが自身初の重賞挑戦となる東京スポーツ杯2歳S(芝1800m)。東京への輸送も初めてとなったこのレースについては、少しじっくりと話をうかがった。
まずはレース前、少々の発汗がみられたことを問うと、友道は「いつものことなので気になりませんでした」と口を開き、さらに続けた。
「2戦目は雨が降っていたので目立たなかったけど、だいぶ汗をかいていました。キャリアが浅く、まだ気が入り過ぎてしまう面があるんです」
パドックの雰囲気についても過去2走と大きな変化はなかったそうだ。
「元々大人しくはないタイプです。パドックでは過去2戦と似たような感じ。この馬なりには落ち着いているという感じでした」
その上で手綱をとる福永には「前残りだけはしないように気をつけて」と伝えた。
初重賞も外から一気に抜け出して楽勝。
そうしてゲートが開くと友道の視線はライバルの姿をとらえにいった。
「ルーカスとの力関係がどうなのか、分かりませんでした」
ルーカスはこの時点で1戦1勝。新馬戦を勝ったのみだが、2015年の年度代表馬モーリスの全弟として注目を集めていた。
同馬はワグネリアンに次ぐ2番人気。道中はワグネリアンよりも後ろの位置取りになった。
「前とはずいぶん離れたけど、速いペースで飛ばしてくれていたので流れ的には良いと思いました」
その見解に誤りがなかったことは直線に向いて証明される。前半1000mを58秒5で行った先行勢は苦しくなり、序盤は後方に位置していたワグネリアン、そしてルーカスが伸びてきた。
“2強激突か?!”
一瞬、そう思わせる態勢になったものの、勝負はあっさりと決着した。
「少し内にササッたけど、気になるほどではなかった」と友道が言うように、大外から内へ切れ込みながらも伸びてきたワグネリアンが堂々と抜け出した。結果、2着ルーカスにつけた差は3馬身。デビューから3連勝で重賞初制覇を飾ってみせた。