スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
大谷翔平と働きやすい球団。
お勧めはパドレスやマリナーズ。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byNanae Suzuki
posted2017/12/08 07:00
二刀流という言葉は、大谷翔平の存在によって夢物語から現実となった。アメリカでもその伝説は続いていく。
日本人コネクションがあり、規模も適切。
どちらも市場規模のわりと小さなチームだ。どちらもジャパン・コネクションがある。
マリナーズには、イチロー、佐々木主浩、城島健司など多くの日本人選手が在籍した。シアトルの街もコンパクトで暮らしやすい。
パドレスには大塚晶文や井口資仁がいた。現在は野茂英雄と斎藤隆が球団のフロントで仕事をしている。大谷の元トレーナーだった中垣征一郎は球団のスポーツ科学部長だし、監督のアンディ・グリーンは2007年に日本ハムで短期間プレーした経験がある。サンディエゴの気候は温暖だ。アリゾナ州ピオリアで行われる春季トレーニングには日本ハムも参加したことがある。
どちらのチームでも、大谷は先発の柱になる。
では、それぞれの陣容はどうだろう。
マリナーズもパドレスも、先発投手陣は強力とはいえない。
つい最近までフェリックス・ヘルナンデス(来季開幕時31歳。以下すべて来季開幕時の年齢)と岩隈久志(36歳)の二枚看板を誇っていたマリナーズは、そのあとが苦しくなった。ジェームズ・パクストン(29歳)はまずまず順調に伸びているが、期待されていたアリエル・ミランダ(29歳)の2017年シーズンは、160イニングスを投げて防御率5.12と不調に終わった。「キング」ヘルナンデスも、まだ老け込む齢ではないのに、かつての剛腕がすっかり影を潜めている。
一方、パドレスの先発陣もけっして褒められたものではない。投球回数が最も多いのは34歳のクレイトン・リチャード(197回3分の1)だが、8勝15敗、防御率4.79の数字はどうにもいただけない。ジョーリス・チャシーン(29歳)、ルイス・ペルドモ(24歳)、ディネルソン・ラメット(25歳)がもう少し伸びれば面白いが、過大な期待はかけられないだろう。
裏を返せば、どちらの球団に入っても、大谷は先発ローテーションの柱になることが可能だ。どちらの本拠地も「投手有利の球場」だし、外野に眼を転じても大谷が出場するチャンスはかなり大きい。