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武豊&ルメール、大一番前の対談。
キタサンやレイデオロの印象は……。
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byKisei Kobayashi
posted2017/11/24 08:00
武豊とルメール。日本とフランスが誇る名手が大いに語り尽くした。
「初戦だから」とは言えない立場にある馬だから。
――キタサンブラックは9月16日に帰厩。18日にはCWコースで初時計を出し、順調な調整を続けています。初戦から“勝負”の雰囲気が出ています。
武 僕はキタサンが厩舎に帰ってきてからは、まだ走っている姿は見ていないんだけど、確かに「初戦だから」とは言っていられない立場にある馬だからね。東京競馬場の芝2000mも向いていると思うよ。
L 私は天皇賞はソウルスターリングに騎乗予定だけど……いやあ、難しい。ビッグチャレンジ。
武 でも、3歳牝馬の斤量は54kg。4歳以上の牡馬とは4kgの差がある。
L それは確かにいい材料だけど、東京の2000は本当にタフなコース。前にいっている馬がバテない、止まらない。すごく難しい。
武 斤量差もあるのかもしれないけど、エアグルーヴ、ウオッカ、ブエナビスタと秋の天皇賞は牝馬が強いよね。
L そうですね。たぶんそれは、牝馬はすぐにトップコンディションになるのも関係ある。オールドホースはコンディションをあげるのに時間がかかる。天皇賞、キタサンブラックはトライアルレースを走らずにいきなり本番でしょ。でも3歳牝馬はすぐにトップコンディション。そこにチャンスがあるかもしれない。
武 クリストフはお母さんのスタセリタにも乗っていたんだよね?
L はい。スタセリタとフランスオークスに勝って、ヴェルメイユ賞も勝った。ヴェルメイユ賞は2番手入線だったけど、1着馬が降着になって……。私じゃなくて別のジョッキーが乗ったけど、アメリカでもGIを勝ったね。強かった。
ソウルスターリングはお母さんにすごく似てる。毛色も脚が長いのも一緒。耳がすごくでかいし、跳びが大きいのも同じ。
武 お父さんのフランケルではなく、お母さん似なんだね。
L そうです、そうです。
ソウルスターリングは春の時期で少し緩かった。
――ソウルスターリング唯一の敗戦は春の桜花賞3着。距離も競馬場も一緒の阪神JFとチューリップ賞は圧勝だっただけに、やはり重い馬場が影響したのでしょうか。
L でも、スタセリタはモンズンの仔で重い馬場が上手だった。ソウルスターリングはまだ春の時期で(体が)少し緩かった。
武 桜花賞を勝つ馬がよく歩むローテーションは阪神JF→チューリップ賞→桜花賞だけど、これは美浦の馬にとっては厳しい。桜花賞は関西馬が強い。
L 桜花賞、私は2年連続で1番人気の馬に乗って負けている。去年はメジャーエンブレムに乗った。この馬も美浦の所属だったけど、ユタカさんの言うとおり阪神JF、チューリップ賞、桜花賞というのは難しいね。