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武豊&ルメール、大一番前の対談。
キタサンやレイデオロの印象は……。
posted2017/11/24 08:00
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
Kisei Kobayashi
駿馬に跨るのは、競馬界の至宝と破竹の勢いの名手。
栄冠をつかみ、歴史に名を刻むのは果たしてどちらか?
超一流の男たちが本音で語り合った「最強の競馬論」。
秋競馬開幕直前に発売し、好評を得ていたNumber937号
(2017年10月12日発売)より再録、全文掲載します!
――いよいよ秋のGIシリーズが開幕します。今年は各レース有力馬が多いですが、中でも注目はGI5勝の王者キタサンブラックに3歳世代のトップが挑む点でしょう。10月末の天皇賞(秋)ではオークス馬ソウルスターリング、11月末のジャパンカップではダービー馬レイデオロが早くもキタサンと「激突」します。
武 例年だと、3歳のトップホースと古馬の一線級が戦うのは年末の有馬記念だけど、今年は早いうちからいいメンバーが揃って秋競馬が盛り上がりそうだね。やっぱり1頭だけ突き抜けた馬がいる年より、たくさん主役がいる方が、お客さんも楽しみが増えるから。
ルメール(以下L) 去年は私が乗ったサトノダイヤモンドとユタカさんが乗ったキタサンブラックは有馬記念で初めて戦いましたね。去年の年末、私は戸崎(圭太)さんとリーディング争いをしていて。結局1勝差でリーディングを獲られちゃったけど、私は最後に有馬記念が獲れて嬉しかった。
武 私は(有馬に負けて)悲しかった(笑)。キタサンブラックは、今年も有馬記念に出る予定だから、今年こそ勝ちたいね。
――キタサンブラックはもし仮に秋のGI3戦すべてに勝利すると獲得賞金が20億円を超え、歴代最高になります。
L ニューレコード! 今はどの馬が1位なの?
――テイエムオペラオーです(約18億3500万円)。2000年秋には天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念の古馬三冠を史上初めて達成しました。
L オペラオー、知ってるよ! 和田(竜二)さんが乗った馬でしょ。日本で一番ということは世界で一番?
武 いや、アメリカのアロゲートがいる。あの馬はペガサスワールドカップ(1着賞金約8億円)も勝ったし。
――キタサンブラックは天皇賞(秋)が宝塚記念9着以来のレースとなります。
武 そうね。宝塚は走らなかったね。(なぜ走らなかったのか)わかんない。
L 競馬はたまにわからないことある。
武 キタサンは春は大阪杯、天皇賞、宝塚記念を走ったけど、全部勝つのはすごく難しい。ただ、宝塚に向かう過程で何かがあったわけではないし、あれだけ負ければ、ほかの馬と力の差があったのかな、と思わなくていいから。