キタサンは強い。体がすごくデカくて、かっこいい。

――ただ、走らなかっただけ？

武　そう。なんていうかな、後を引かない敗戦だった。競馬だから原因不明の負けはあるし、時には逆のパターンで、なんでこの馬こんなに走ったんだろうというレースもある。馬は自分が1番人気だとか、ここで勝たなきゃいけないとか、わからないしね。いつも実力通りの力をどの馬も出すことができたとしたら、みんなもっと馬券を当てることができてるよ（笑）。

　この秋は、やっぱりキタサンブラックが中心になってくるし、「主役として頑張らなきゃいけない」という思いは僕自身もありますね。

L　キタサンは強い。それに体がすごくデカくて、かっこいい。ポテンシャルがめっちゃ高いから、どの距離、どの競馬場もこなすけど、跳び（歩幅）が大きいから広い競馬場の方がいいと思います。

武　そうだね。去年のジャパンカップの時もすごく強かったしね。

初めて乗って「これは距離は大丈夫そうやな」と。

L　お父さんは誰だっけ？　つい忘れちゃって。

武　ブラックタイド。ディープインパクトの全兄で僕も現役時代に乗ったことがある。

L　キタサンみたいに大きな馬だった？

武　ディープと違ってすごく体が大きくて、よく似てるね。

L　ブルードメア（母父）は……。

武　サクラバクシンオー。スプリンターズSを連覇した馬。

L　わお。

武　それでキタサンは3200mの天皇賞（春）を連覇した。お母さんは未出走で、1回もレースに出てない。キタサンは菊花賞に出る頃から「長距離はこなせないんじゃないか」と言われ続けていて、僕もその頃はそう言っていた（笑）。でも4歳の大阪杯から乗せてもらって、実際に馬を見たら全くそう思わなかった。レースに出ても、すごくしなやかで「これは距離は大丈夫そうやな」と。

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