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天皇賞激走はJCの不安要素か否か。
キタサン&武豊、叩き2戦目の法則。
posted2017/11/25 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
keiji Ishikawa
ラストランまであと2戦となったキタサンブラック(牡5歳、父ブラックタイド、栗東・清水久詞厩舎)が、今週の第37回ジャパンカップ(11月26日、東京芝2400m、3歳以上GI)に出走する。
今年は大阪杯、天皇賞・春、そして前走の天皇賞・秋とGIを3勝。天皇賞・春はハイペースで先行し、ディープインパクトの記録をコンマ9秒も短縮するスーパーレコードで押し切った。対照的に、天皇賞・秋は、出遅れて馬場の悪い内を回りながら、このレースが2000mに短縮されてからもっとも遅い「逆レコード」の2分8秒3で差し切った。時計が速くても遅くても、前からでも後ろからでも力を出せるのだから、他馬はたまらない。
特に天皇賞・秋は、もし凱旋門賞に出走していたらどうなっていただろう、と思うほどの強さだった。10年前の2007年、馬インフルエンザの影響で渡仏を断念したメイショウサムソンも、同年の天皇賞・秋を生涯最強とも思える走りで勝っている。そのあたりが上手く噛み合うようになれば、世界最高峰の大舞台で頂点を狙えるのだろう。
能力、実績、距離、調整、枠順、騎手に不安なし。
話を今年のジャパンカップに戻すと、押しも押されもせぬ現役最強馬が、昨年圧勝した舞台に立つのだから、当然、主役となる。
能力、コース実績、距離適性、調整過程、そして2枠4番という枠順。どれも隙はないように思われる。主戦の武豊が11月8日の調教中に落馬し、右膝の靱帯を痛めて心配されたが、そちらも問題ないようだ。靱帯が断裂したら手術が必要なのだが、伸ばしただけなら休めば治る。その週の競馬を休み、翌週も騎乗数を絞り、今は騎乗に影響はないという。
キタサンに不安があるとすれば、超一流馬でも普段より10秒ほど時計がかかる極悪馬場の天皇賞・秋を激走した疲れがあるかどうかだ。
超ハイスピードで決着した天皇賞・春で好走した馬たちは、次走で軒並み反動が出てしまった。逆に、超スロースピードで決着した場合も、心身に疲労が残るのだろうか。