マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
有力投手がドラフト指名外のカラクリ。
「“エライさん”に説明するのが……」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2017/11/14 07:00
プロに入るための能力と実際に活躍するための能力には、ズレがあるケースがある。西川大地もそのタイプだとは思うのだが……。
「育成では入りません」という縛りが増えてもいい。
「縛り」は悪いことじゃない。
一見、契約金の吊り上げのようにも見えるかもしれないが、選手側から指名順位に条件を付けるということは、裏を返せば、選手側にそれだけの責任が伴ってくる。
選手はそれだけ万全の準備と覚悟を持ってプロに進み、相応の時期に順位にふさわしい“仕事”をやってのけなくては、オトコがすたるわけだ。球団、選手双方にとって、とても前向きな考え方だと思う。
実は、私としてはもう1つ別の縛りがあってもよいと考えている。
「支配下ドラフト縛り」という考え方だ。
育成ドラフトでは、プロに入りません! そんな決然とした態度をとる選手、関係者がもっと多くいてよい。
選手側から見れば、育成とは、ある意味、プロ側からの「失格の評価」と考えてもよいと思う。どうぞ、いらしてください……なら、支配下ドラフトで指名するはずだろう。
育成という言葉はきれいだが実態は、万が一戦力になったら……という淡い期待と、入りたければ獲ってあげましょう、という入団条件。
育成という評価は、「ほんとのところ、プロにはまだ届いていないんですよ」と翻訳するべきだろう。
安売りという言葉が激しすぎれば、“早売り”でもいい。
人生の大きな部分が決定しかねない大切な選択の中に、「ここはグッと辛抱して思いとどまる」。そんな選択肢がもっとあっていいのに……。
いつも、そんなことを考えてしまう秋でもある。