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ウオッカの登場もエリ女のおかげ?
古馬牝馬GIの特殊性と、今年の予想。
posted2017/11/11 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
AFLO
エリザベス女王杯が3歳馬と古馬との混合戦になったのは、今から21年前、1996年のことだった。これが日本における初めての、古馬が出られる牝馬限定GIとなった。
そして2006年にヴィクトリアマイルが創設され、古馬牝馬に、年に2つの牝馬限定GIに出走するチャンスが与えられた。
それ以前からマイル以下の距離では、古馬になってからも牡馬と互角以上にやり合う牝馬はときおり現れていた。
しかし、オークスや牝馬三冠の3戦目として京都芝2400mで行われていたエリザベス女王杯を勝った馬は、古馬になると厳しいローテーションを歩まざるを得なかった。距離適性を生かせる大舞台は、春秋の天皇賞やジャパンカップ、有馬記念などになる。そうしたレースで強い牡馬を相手にしなければならなかったので、オークス馬やエリザベス女王杯優勝馬には、どうしても「一発屋」のようなイメージがついてしまいがちだった。
ウオッカやジェンティルの登場もエリ女の影響?
そうした状況下、女王杯の古馬への開放は、いわば「救済」のような意味合いもあったわけだが、だからといってレベルの低い争いになったわけではない。
1996年以降の勝ち馬がそれを示しており、ダンスパートナー、メジロドーベル、ファインモーション、スイープトウショウ、フサイチパンドラ、ダイワスカーレット、スノーフェアリー、ラキシス、マリアライト……と、牡馬との混合重賞や混合GIを勝った馬が何頭も現れている。
そして、牡馬たちをなで斬りにしたエアグルーヴ、ブエナビスタといった女傑でさえ、女王杯ではともに3着に敗れている。
ウオッカ(2007年に出走取消)やジェンティルドンナは一度も女王杯に出走していないが、女王杯が古馬に開放されてから、長い距離でも強い女傑が目立つようになった。それはおそらく、牝馬が古馬になってからも活躍できる場が広がったがゆえに、先を見据えた育成・調教・使い方がなされるようになったからだろう。