濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
全日本プロレス復興の要因は……?
秋山準社長が重んじる“基本と自由”。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2017/10/28 08:00
世界タッグ戴冠直後の秋山と大森。同期の2人はデビュー25周年にして快挙をなした。
老舗の底力に新風も加わり――会場が満員札止めに!
昨年、伝統のシングルリーグ戦『チャンピオン・カーニバル』を制したのは大日本プロレスの関本大介。岡林裕二とのタッグで世界タッグ王者にもなっている。
今年はDDT系列のユニオンプロレス解散とともにフリーとなった“インディーの巨人”石川修司がリーグ戦制覇、そして三冠王座奪取を成し遂げた。
復帰を果たした諏訪魔、ドーリングと石川の激突は超ヘビー級ならではの迫力に満ちており、この3人と宮原が形成するトップ戦線は日本マット界の頂点の1つだと言える。
名古屋のローカル団体から東京に乗り込み、所属となった岩本煌史やパンクラス・ミッションの佐藤光留も個性を発揮。野村直矢と青柳優馬の若いコンビも主力に育ってきた。
老舗の底力に新風が加わり、後楽園ホールが超満員札止めになることも。
秋山曰く「後楽園が大事なんです。後楽園の熱気や評判が地方にも波及していくんですよ」。さらに両国国技館大会も成功させている。
秋山が馬場、永源たちから学んだものとは?
リング上の風景は変わったが「全日本プロレスとしてクオリティを落とすつもりはない」と秋山。あくまで大切にするのは受身を中心とした基本だ。
それができていれば出自にはこだわらないし、所属外の選手にアドバイスをすることもある。
観客を意識した試合運びは、若手時代に見た「ファミリー軍団vs.悪役商会」の笑いたっぷりのバトルから学んだことも大きいという。馬場、ラッシャー木村、永源遙といったベテランたちの試合を「巡業中、他の試合は見なくてもあれだけは見てました」と秋山は振り返る。
「毎日見てるのに笑っちゃうんだから凄いですよ。実はお客さんの反応に応じて、会場ごとに少しずつ内容を変えてたんです」
このところの秋山も、ベテランがトップに居座るのはよくないと、一歩引いた立場で試合をしてきた。今回のタイトルマッチは、記念試合であり「タッグなら」という特例だったのだ。