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なぜ明治大学は箱根を失ったのか。
「反撃のシナリオ」なき予選落ち。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2017/10/17 17:00
予選会前の時点で、明治が落ちると予想した人はほとんどいなかったはずだ。それだけに、ここからの立て直しは難しさを伴う。
この日の明治からは「反撃のシナリオ」が見えず。
心配になったのは、次のターゲットへ向けての覇気が報告会からは感じられなかったことだ。気持ちは分かる。落選など、想定していなかったのだから。
西監督も円陣を解散するにあたっては、あっさりしていた。
「では、昼食をとって、4時に集合しましょう。解散」
当日の4時からは練習が予定されていた。この後、グラウンドに集合した選手たちはフリージョグの練習を行った。
残念ながら、この日の明治からは「反撃のシナリオ」が見えてこなかった。
比較するのは本意ではないが、昨年の予選会で落選した中大の1年生主将・舟津彰馬の涙からは、絶対に中大は帰ってくるという確信を得ることが出来た。予選会通過が危ぶまれていた分、危機感があったのだろう。反撃に向けてのシナリオが、あの場から始まっていた。
明治は予期していなかった落選という事態に誰もが戸惑い、視線を落としていた。
それでも、誰かひとりでもいいから、「前へ」と視線を向けて欲しかった。悔しさからの力を、誰かから感じたかった。
誰か、「M」の未来を感じさせる走りを見せてくれ。
この後、明治は11月5日の全日本大学駅伝に出場する。箱根が後に控えていない全日本を走るのはモチベーションの維持が難しい。
しかし、ここが重要だ。明治にとって、これまでの全日本以上に大きな意味を持つことになるだろう。どんな結果を残せるかによって、将来に向けてのシナリオが変わってくるからだ。
全日本では、末次主将も登録メンバーに入っている。
「しっかり僕たちも来年度へつなげていきたいと思います」
という報告会の言葉を、その走りで実現して欲しい。
明治にとって今季最後となる駅伝。
誰か、「M」の未来を感じさせる走りを見せてくれ。