球道雑記BACK NUMBER
ロッテ成田翔に生きる大先輩の教え。
石川雅規「苦手な人を作るな」
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2017/09/23 11:30
秋田商時代の熱闘には多くの高校野球ファンが心を打たれた。プロになっても成田は進化するはずだ。
決め球のスライダーがカーブ風ではなく……。
きっかけは昨年の秋季キャンプ後、休む間もなく参加した台湾のウインターリーグだった。同チームの投手コーチとして帯同していた巨人・木村龍治投手兼トレーニングコーチの助言を元に、意識的に腹筋を使う呼吸法のドローインを導入するようになった。
「ドローインしながら、そこの力を使って足を上げたら良いのではとアドバイスを受けました。オフの期間はランニングをするときもドローインを心がけて、とにかく腹筋を意識するようにしました。それは今でも練習のひとつひとつに続けて意識していますね」
約半年間続けたことによって、今ではそれも習慣化した。ピッチングする際はそれを意識しなくても、自然な形でできるようになったという。
また体幹強化の効果もあってか、今年はピッチング自体にも変化が出始めた。
「昨年のイースタンではピンチの場面で三振を取れたりできなかったんですけど、台湾ではそれができました。またスライダーでも空振りをとれるようになったことが今後の自信にもなりましたね」
スライダーは高校時代の頃と若干質が違っている。以前のスライダーはカーブのような大きな曲がりの分だけ、打者に見極められることも少なくなかった。しかし今年は曲がりが以前よりも小さくなったものの、打者の手元で変化し、打者にとっては見極めづらいボールにもなっている。決め球として十分使えるボールだ。
ヤクルトの石川と食事する機会に恵まれた。
昨年の成田は、高校時代の投球フォームを追い求め過ぎるあまり不調からなかなか脱せなかった。またシーズン中盤には左ひじを痛め、イースタンリーグでもわずか7試合18イニングの登板に終わり悔しい想いをした。
そんな折の昨年オフ、成田は秋田商業の大先輩で、自身が目標に掲げている東京ヤクルトの石川雅規と食事をする機会に恵まれた。
その席で成田は石川から「体つきはプロになっても変わってきているから、自分はその時々に合うフォームを1年ずつ探している」というアドバイスをもらった。