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イチローと代打の宝石たち。
大リーグで輝いた勝負師の数々。 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2017/09/16 09:00

イチローと代打の宝石たち。大リーグで輝いた勝負師の数々。<Number Web> photograph by AFLO

ウェイティングサークルでも準備を欠かさない。この完璧な準備が、代打としてもイチローの価値を高める。

忍耐力、観察力、瞬発力、継続力の証明。

 イチローは、これら大打者や個性派エキスパートに伍して、ピンチヒッターとしても球史に名を刻むのだろうか。彼の残した偉大な数字を思えば、代打としての記録はおまけにすぎないという意見もあるようだが、私はそうは思わない。

 冒頭にも述べたとおり、この代打安打数は、彼の忍耐力、観察力、瞬発力、それに加えて継続力の証明だと私は思う。

 出場機会をこれだけ減らされながら('17年の打席数は、'16年の60%程度にとどまりそうだ。最盛期の'04年に比べると約25%)、なんらかの形で球史にくさびを打ち込んでくるイチローは、やはり興味の尽きない選手だ。意地と技量に眼が行くのは当然のことだが、いつしか並外れた精神力も備わってきたのではないか。けっして楽な境遇ではないのに、手を抜かず、気をゆるめないその姿勢は驚嘆に値する。

 大リーグデビュー時の年齢がちがうとはいえ、クローニンやマッコヴィーは約20年現役をつづけた。イチローの大リーグ20年目は2020年だ。それまでに、彼のキャリアにはどんな数字が書き加えられるのか。いや、数字のみならず、私は、彼の姿形やメンタリティがどのように変化していくのか(あるいは、どのように維持されていくのか)を見守っていきたい。

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