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ダルビッシュが野茂を越える日は……。
日本人投手の世代間リレーは続く。
posted2017/09/18 07:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
どんな世界でも、凄いヤツは出てくる。
スポーツの世界でも、音楽の世界でも、後から後から凄いヤツが出てくる。その凄いヤツは後に続くヤツらに直接的、もしくは間接的に影響を与えて、その世界を変えていく。
そして、凄いヤツが多ければ多いほど、その世界は「進歩」する。
メジャーリーグの世界も、それは同じだ。投手に限って言えば、ロジャー・クレメンスやランディ・ジョンソンの時代はもう終わったのだ。ジャスティン・バーランダーやマックス・シャーザーが現われ、クレイトン・カーショウやマディソン・バムガーナーがサイヤング賞投票の常連になり、ポストシーズンで大活躍した。そして、今では彼らの周りにダラス・カイコーやコリー・クルーバーやクリス・セール、ザック・グリンキーやジェイコブ・デグロムらがひしめいている。
絶対的なエース。エース級投手。メジャーを代表する投手……言い方は何だっていい。
ダルビッシュ有は、そういう世界の住人ではないかと思う。
野茂英雄の通算記録は、今も日本人最多である。
そして、その行く先に待っているのは、野茂英雄を筆頭にした先人たちである。
野茂はメジャーリーグ通算323試合、1976.1回に登板して123勝、1918奪三振、防御率4.24という数字を残している。彼が最初に「メジャー挑戦」をした1995年から20年以上が経つというのに、足し算で算出される通算記録は他のどんな日本人投手も及ばない。それはつまり、過去にメジャーリーグで12年も投げた日本人投手がいないことを意味している。
野茂に次ぐ通算成績を残している黒田博樹は、メジャーリーグ通算212試合、1319回に登板して、79勝、986奪三振という数字を残しているが、「メジャー挑戦」の初年が野茂の26歳に対して黒田は33歳だったために、差が出て当然だろう。
本人がそんなことを言った事実はないが、黒田が「男気」で有名になって古巣の広島に戻ったのは、メジャーリーグで7年投げてからの話だ。奇しくも黒田のメジャー最終年は、野茂と同じ39歳だった。