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青木宣親は今も「意外とフツー」。
生き残りこそが日常、という達観。
posted2017/09/15 08:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
「Batting Second……Right fielder……Norrriii Aoooki!」
場内アナウンスがそう告げると、懐かしい、ノリのいい音楽が流れ始める。ガラガラなので大合唱とまでは言わないが、サビの部分になると観客席のどこかから「ゴーストバスターズ!」と聞こえてくる。そう、メッツの青木宣親は、本拠地シティ・フィールドでの登場曲にニューヨークを舞台にした1980年代の米コメディ映画「ゴーストバスターズ」のテーマを選んだのである。
アストロズ時代は親交のあるGLAYのギタリストTAKUROさんのソロ曲「流転」だった。それがなぜかブルージェイズで故マイケル・ジャクソンのヒット曲「スリラー」になり、今度は「ゴーストバスターズ」である。
「どうして? 何となく、ニューヨークっぽいかなと思って」
嘘つけっ、と思わないわけではなかったが、登場曲は本題ではない。8月29日にブルージェイズを自由契約となり、9月2日にメッツと契約した彼の、再スタートの心境を聞きたかっただけである。
「意外とフツー」な心境は、経験のたまもの。
「うーん、まあ、自分で言うのも変だけど、意外とフツー」
ふざけているわけではなさそうだ。そりゃそうだろう。青木は今、メジャーリーグ生き残りを懸けて戦っているのだから。
過去にも何度か書いたから、「今もまた」と付けた方がいいかも知れない。2012年に「メジャー挑戦」を開始した時は、「開幕メジャーに生き残る」戦いだった。2016年は「マイナーリーグから這い上がってメジャーに生き残る」戦いだった。
青木は開幕メジャーに生き残り、マイナーからも這い上がって見せた。そして今度の戦いは、「来季以降もメジャーに生き残る」戦いである。
35歳のベテラン外野手には何ができるのか――。メジャーリーグの各チームに対し、彼は今、そういうことを示している。