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なぜ「断酒宣言」は無かったのか?
巨人・山口俊の傷害事件を検証。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKyodo News

posted2017/08/25 11:00

なぜ「断酒宣言」は無かったのか?巨人・山口俊の傷害事件を検証。<Number Web> photograph by Kyodo News

謝罪の記者会見を終え、席を立つ山口。復帰後、山口がどのようなプレーをし、どのように日常生活を送るのか……注目される。

なぜ山口は「断酒宣言」をしなかったのか?

 そもそも事の発端となった飲酒について、これからどうするのか、と聞かれた山口はこう語った。

「しっかり自分で自粛して、またこのような軽率な行動、社会人としてあるまじき行動をとらぬように、お酒との付き合いを考えて向き合っていきます」

 本来ならば断酒、少なくとも当面の間は禁酒を誓うぐらいの強い姿勢を見せるべきだったが、酒好きの山口の口からはそういう言葉は出てこなかったのである。

 会見の一問一答を読むと(会見は運動記者クラブ加盟社、東京スポーツニュース協会加盟社1社1名しか入場が許されずに直接取材はできなかった)、仕方ないのかもしれないが「自分の軽率な行動で」と同じ文言を繰り返し、いかにも事前にレクチャーを受けた言葉を語っている印象は拭えなかった。その中で数少ない本人の言葉が、この飲酒に関するものだったのである。

元サッカー日本代表の前園真聖は断酒宣言を。

 同列には語れないかもしれないが、元サッカー日本代表のタレント・前園真聖さんは、同じように飲酒トラブルを起こした際には、きっぱりと断酒宣言をして、それ以降は「一切、お酒は口にしていない」と公言している。それぐらいに強く自分を律する姿勢を見せて初めて、ファンは山口の再起を受け入れられるのではないか。

 そもそもアスリートが深夜まで酒を飲んで騒いで、利き腕をケガしたこと自体に、ファンは呆れている。その果てのトラブルなのだから、原因がどこにあるのかは明白だ。

 そういう意味では巨人の処分も、出場停止や罰金という形だけではなく、例えば定期的に断酒のカウンセリングを受けさせるとか、オフには断酒セミナーに通わせるなど、球団として山口の酒断ちをサポートする姿勢も必要なのかもしれない。

 もちろん飲酒は悪ではない。しかし、飲酒は犯した過ちの理由にはならないということだ。酒を飲んだ自分を自分で律することができなかったのであれば、きちっとけじめをつけるべきではないだろうか。

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