錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
復帰したフェデラーに倣って……。
錦織圭、右手首ケガの背景と重大性。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2017/08/22 11:00
これまでも幾多のケガや不調を乗り越えてきた錦織。きっと……今回のケガも乗り越えて、私たちファンに再び笑顔を見せてくれると信じたい。
ケガは多くとも沢山の大会に出続けた錦織。
錦織は他の多くのプレーヤーと比較してそのケガの数が多く、部位も多岐に渡るのは確かだが、過去5年間のグランドスラム及びマスターズの全欠場回数は錦織よりもラファエル・ナダルのほうが多い。
見るからに筋骨逞しい188cmのジョーウィルフリード・ツォンガも、実は若い頃から「ガラスの体」と呼ばれて何度もケガを味わった。
ちなみに、左利きのナダルは2014年にまず右手首、昨年は左手首を痛めて全仏オープン以降、シーズン末までに計7大会を欠場している。体格や、見た目ではない生まれ持った体の強さ、プレースタイル、年齢など原因はさまざまだが、1年のうちの11カ月を転戦しながら戦うテニスでは、そうした弱点のごまかしがきかない。
錦織に関しては、故障したことがない箇所を探すほうが難しいくらいで、手首を痛めたのもこれが初めてではない。
錦織にとって初めての手首の「重症」では?
2012年のオフシーズン中が最初だったかもしれないが、その後も試合中に治療を受けたことが何度かあった。
今年のマイアミの準々決勝での手首負傷は、クレー1戦目のバルセロナの欠場へと影響。その後、心配材料は芝で痛めた腰に移り、手首は引きずっていないように見えたが、今回シンシナティで痛めた際、錦織自身が聞いたという「音」は、手首に関しては初めての〈重症〉を意味するだろう。
部分断裂と診断された小指側の腱は手首の曲げ伸ばしに使う部位で、テニスでは多いケガだという。
テニスプレーヤーにとって手首は「命」といってもいい。
肩よりも肘よりも小さな関節で、打球の衝撃を一番近いところで受け止めている部位だからだ。