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全小に見える“錦織効果”。問題はその後のシステムだ。~出てきた才能を世界へ届けるルートを~
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2017/08/19 12:00
今年頂点に立ったのは男子が前田優、女子は双子対決を制した虫賀心央。2人には錦織圭のサイン入りタオルが。
7月下旬、全国小学生テニス選手権を観戦した。会場に貼られたポスターでは、第19回大会優勝の錦織圭、第25回大会優勝の西岡良仁らが〈僕らに続け〉と呼びかけていた。選手たちは、錦織を追いかければ必ず世界に近づけると信じて戦ったことだろう。
会場に第1回大会優勝の山本育史の姿があった。4歳上の松岡修造らとデ杯代表で活躍したが、個人戦では四大大会出場を果たせず、ウィンブルドン8強の松岡に続けなかった。山本が悔やむのは、体格に恵まれ、高校3年で海外に飛び出した松岡を「違う存在」と見てしまったことだという。だが、小柄でサラリーマン家庭に育った錦織を、同年代や後輩は特別視せず、次は俺だ、と刺激に替えた。「錦織がいたから杉田祐一や西岡が上がってきた」と山本は錦織効果を認める。