錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
復帰したフェデラーに倣って……。
錦織圭、右手首ケガの背景と重大性。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2017/08/22 11:00
これまでも幾多のケガや不調を乗り越えてきた錦織。きっと……今回のケガも乗り越えて、私たちファンに再び笑顔を見せてくれると信じたい。
心も体も「休みたい!」と叫び続けていたでのは?
それにしても、膝のケガに悩まされていたワウリンカ、そして錦織も含め、彼らがあと4カ月を残した時点で、全ての試合を捨てるという決断を次々と下したことは異例だ。
昨シーズンの後半を完全に休んで今季の成功につないだロジャー・フェデラーの例は、その選択の背景に当然あったに違いない。
彼らの共通点は、今季好調とはいえないシーズンを送っていたことであり、体も心も、「休みたい!」と叫び続けていたのではないか。
特に錦織の場合は突発的なケガであり、全米の欠場はともかく、決断が早すぎないだろうか。完治までに要する時間と、コートで必要な練習時間を考えれば今季は絶望との判断だったというが、結局、年内復帰を目指すモチベーションが湧いてこなかったのだと思えてならない。そして、父親の厳しいコメントまでが長々と載った週刊誌の派手な報道合戦なども無関係だとは思えない。
錦織は、公式アプリの動画でファンに「たくさんのメッセージをありがとうございます。なるべく気持ちを前向きに、来年までに治したいと思います」と語っている。
復活への道のりの辛さは、19歳のときに丸1年ツアーを離れた錦織ならよくわかっている。取り巻く環境や年齢のことを考えると、ひょっとしたらあのとき以上の苦労を覚悟しなくてはいけないかもしれない。