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アジア1位は東京五輪へのスタート。
石川祐希のサーブは進化の象徴だ。 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byGetty Images

posted2017/08/10 11:00

アジア1位は東京五輪へのスタート。石川祐希のサーブは進化の象徴だ。<Number Web> photograph by Getty Images

決勝でカザフスタンを3-1で下し、2大会連続9度目の優勝を果たした日本。エース石川が大会MVPに輝いた。

世界で戦うサーブは「台上から打つ感覚」?

 なかでもサーブとレセプションは、中垣内監督、フィリップ・ブランコーチが就任直後から世界と戦うための課題として掲げてきたものであり、石川が強弱を織り交ぜたように、それぞれの選手が目的を持ったサーブにチャレンジする姿が見られた。

 特に著しい進化を見せたのが、ミドルブロッカーの山内晶大とオポジットの出来田敬だ。当初、就任間もないブランコーチから「そのチャンスサーブでは得点につなげることはできない」と酷評された2人だが、シンプルなアドバイスに基づき、練習を重ねた結果、これまで以上に相手を崩すサーブが打てるようになったと出来田は言う。

「とにかく高いところでヒットして、台上から打つような感覚でスイングしろ、と。通過点を高くして、ボールをインパクトする瞬間に振り抜くのではなく、しっかり止める。新しいことではなくシンプルなことばかりですけど、確実に変わって来た実感はあります」(出来田)

狙われるのは攻撃の中心である石川や柳田。

 サーブ力が上がれば、当然、それを受けるレセプションも向上しなければならない。「とにかくオーバーカットで取ることを心がけて来た」と柳田将洋が言うように、コート前方で構え、ジャンプフローターサーブのボールが変化する前にオーバーハンドでレシーブする。練習から徹底した結果、ワールドリーグや世界選手権アジア予選でも大崩れすることはなく、相手に献上する直接失点も減った。

 だが、ジャンプサーブよりもジャンプフローターサーブを放つ選手が多かったアジア選手権では、オーバーハンドで後方に弾くケースや、アンダーハンドで取るのかオーバーハンドで取るのか判断を迷い、セッターがトスを上げられない返球も少なくなかった。

 相手からすれば、ただサーブで得点するというだけでなく、万全な状態で攻撃をさせないことも狙いであるため、当然ながら狙うのは守備専門のリベロではなく、ウィングスパイカーの石川や柳田だ。

 特にアジア選手権の序盤は石川が狙われ、自身も「感覚が悪かった」と振り返ったように、レシーブした後のプレーにも影響を及ぼすことがあり、唯一敗れた予選リーグの韓国戦では石川のスパイクミスも相次いだ。

【次ページ】 アジアでは合格、あとは世界トップの国にどうするか。

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